異様な光景であった。その男は冷や汗を流した。
このままではまずいと直感でわかったのだ。
本能がそう告げている。だから彼は咄嗟に逃げ出した。
だが、彼が逃げるよりも早く十兵衛は動いた。
彼は一瞬にして間合いを詰めると、男の
腰を掴み、持ち上げて肩に担ぎ上げた。
そしてそのまま歩き出す。
男の体が逆さまになり、視界には地面が映った。
彼は恐怖した。このままでは十兵衛の船に連れ込まれてしまうと悟ったからだ。
必死にもがくが、十兵衛の腕の力が強くビクともしない。
「離せ! 離してくれ!」
男は半狂乱になりながら叫んだ。
しかし、十兵衛は聞く耳を持たずに歩き続ける。
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