彼はこれまでの経過を思い出そうとした。ぼうっと彷徨うように旅をしていると、山道を越えていく途中でがけ崩れが起きたのだ。逃げ切れず頭を打ったのは覚えているのだが…
まもなくミュリネが別の女性を連れて戻ってきた。
「治癒術師のマルティナです。貴方は土砂崩れに巻き込まれて救助されたの。大きな怪我はなかったのだけど、頭を打ったせいでしょうね。今まで四日間意識をなくしていたの。貴方のお名前は?」
「んん……駄目だ、思い出せない。がけ崩れに巻き込まれて、落石で頭を打ったのは覚えているんだが、むしろそれまでが夢の中をさまよっていたようにさえ思え、名前や、故郷を思い出せない…」
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