「…あ!シェーラさん」
ピコが私に気付いた。
可愛い…。
人目もはばからず抱き締めてキスしてあげたい。
彼は言った。
「この子、冒険者になったばかりで仲間を探してるそうなんです」
「へぇ…そうなんだぁ。良い仲間が見つかると良いね♪」
とりあえず笑顔でそう言う私…そう、もちろん今さっき殺すとは言ったが、さすがに私もピコと親しげに話していたぐらいで殺すなんて事はしない。
自分の立場をわきまえて大人しく引き下がるんなら……そう思っていた。
ピコの次の言葉を聞くまでは…。
「それでねシェーラさん、この子、僕達の仲間に入れてあげない…?」
……よし、殺(や)ろう。
もう殺るしかない。
ピコに近付く害虫は排除する。
この目の前の生き物は今、私によってその害虫に指定された。
「…え?い…良いんですかぁ!?」
害虫が何か言っている。
頬を紅潮させ、心なしか瞳も潤んでいる。
なるほど、これがこの虫の習性か。
可愛らしい外見といい、そうやって無垢な男(ピコ)に取り付くという手口なのだろう。
しかしてピコは言った。
「もちろんだよ!…ね、シェーラさん?」
「……あ、うん!もちろん大歓迎だよぉ〜♪」
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