「じゃあ、力があったらお前はこの世界を平和に導けるのか?」
と、僕の問いかけに少年は
「そうだ」
と答えた。そこで僕は少年の頭に掌を翳すと力を籠めた。
掌が光るとそれが少年の頭部に流れ込み、少年は悲鳴を上げる。
掌を退かすと少年の顔つきがどこか僕に似た顔になった。
「僕には遠く及ばないけどそれなりの…一国の兵団に全滅させられる力をあげるよ。その力を持ってノイエンタールで世界を平和に導いてみてよ」
つまり、僕の替え玉になって政(まつりごと)をしろと言うことだ。ウルサに命じてそのことを書簡にして少年に持たせると、再編成した討伐隊に護衛をさせてノイエンタールに送り出した。
少年は終始脅えた顔をしていた。力があれば云々を言ったのは少年だ。吐いた唾を飲むかどうか楽しみだ。
僕はどうするかと言うと、ウルサを頭領とした世直し一向の従者に扮して少人数で旅をすることにした。
しばらくは柵(しがらみ)無しに気楽に盗賊討伐などで楽しむことにした。
数匹の魔獣と核の天使と使い魔1匹ずつをつれての気ままな旅の始まりに僕の足取りは軽くなった。
↑に続く文章を投稿して下さい
©2002-2024 PIPI's World 『投稿小説』 All Rights Reseved. | 投 稿 小 説 |