「グルルルル…ワシが行こう。」
「獅子王殿っ!」
「白虎からおおよその話は聞いておる。無力化して、人の王にトドメを刺させれば良いのだろう?」
「し、しかし、獣界の王にそのような事を!」
「構わぬ。」
大混乱の中、サイの姿が見えなくなった事に一早く気付いたのは、リリアンだった。ランドルフが観客の避難を優先させている時、リリアンはサイを追い掛けて飛び出したのだった。
闘技場の廊下でサイに追いついたリリアンは、剣を抜いて声を上げた。
「待ちなさい!」
「やぁリリー…」
振り向いたサイは、下卑た笑みを浮かべた。
「サイ、アンタ何しようっての!」
「復讐。ランドを死にたくなるように追い込んでやるんだ。」
「アンタってやつは…」
「リリー、君を待ってたんだ。君はね、生贄なんだ…」
「知らないわよ!ランドに手を出すなら私だって本気でアンタを…」
サイが手にしていた本を開こうとすると、リリアンは剣を振りかぶって斬りかかった。
「リリー!?リリー!?」
観客を誘導している最中、強烈な胸騒ぎと不快感に襲われた。直感的にリリアンの身に何かあったと悟ったランドルフは、駆け出したのだった。
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