肩をすくめたディーク。
少女から目を外すと、遙かに望む王都ウェンディへと移した。
我らが大教師――『黒真珠』の字をもつ稀代の才女と唯一肩を並べた伝説の魔導師『紫水晶』。
その弟子の名を、今や知らない魔導師は『黒の教室』にはいない。
デルマーノ――家名もなく称号もない、ただのデルマーノ。
けれど、おそらく無策で挑んで勝てる者は、大隊規模で考えてもいまい。
そんな人外の化け物、それが今回の相手だ。
(そう、無策では――ね)
ディークはすっと息を吸った。
「『黒羊』第一魔導戦隊!出陣せよっ!」
もしこれが騎士団などであれば声でも上げるのだろうが、部下達は静かなものであった。
↑に続く文章を投稿して下さい
©2002-2024 PIPI's World 『投稿小説』 All Rights Reseved. | 投 稿 小 説 |