「ぜ、ゼノバ長官は…」
結局、彼は謝罪を呑み込んで、別の話をしようと適当に口火をきった。
口にしてしまってから、どう考えてもふさわしくない話題だったと後悔したが後の祭りだ。ゲルダの表情が一瞬でかたくなった。
「…なんです?」
「いや、あの人も、あれだよな。自分の女にこんな危険な役目をさ、」
「私は、あの方の女なんかではありません」
ゲルダはそう言って、ふいと顔をそらした。
「あの方のお気まぎれに数度、お情けを頂戴しただけです。あの方にはすばらしいご内室がいらっしゃいます。他の誰も……あの方の女にはなれません」
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