蛮人の旅 3
素っ裸の蛮族の男が近づいてきたというのに、逃げるどころか、彼女はコバルの愛撫に身を任せていた。
魅了され興奮したコバルは気づいていないのだが、彼女はこの森に住む森の精霊である。
その魔力に魅入られた者は、彼女の虜となりその命令に従うことになる。
彼女はゆっくりと手を伸ばし、コバルの男根を握りしめた。その瞬間に彼は強い快感を感じ、思わず声を上げた。そしてそのまま上下に動かし始める。
彼の男根はビクビクと脈打ち始め、先端からは透明な液体が滲み出てきた。
彼女はそれを指先で掬い取り、自分の口に運んだ。
「ドバー族の若者の精液、とても濃厚で美味しいわ。リィガル族の若者の精液とはまた違った味わいがあるわね」
ドバー族とリィガル族は古くから対立しており、コバルはドバー族だった。ドバー族が焦げ茶色の髪の毛を持ち、リィガル族が金色の髪の毛を持つことからその二つの部族は見分けることができる。
こんな状況で対立する部族の名を聞いたコバルは、困惑と同時に嫌悪の感情を抱いた。聞きたくもない部族の名前を聞き、コバルの気分は一気に冷めていった。
「どうしてお前はリィガル族の男ともこんな事をするんだ」
彼は思わずそう口にしていた。
彼女は一瞬驚いたような表情を浮かべた後、すぐに妖艶な笑みを浮かべた。
「私は森の精霊よ。部族の境無く交わるのは当然のこと」
コバルには彼女の言っていることが理解できなかった。彼はただ呆然と彼女を見つめていた。彼女はそんな彼の姿を見て、クスリと笑った。
「まあ、あなたに理解しろと言っても無理な話でしょうね…。説明するより、実際に体験してもらった方が早そうね」
彼女がそう言うと異様な気配が漂い、コバルの目の前にリィガル族の若者が現れた。その若者もコバルと同じく全裸で、勃起した男根が目についた。
突然現れた敵対部族にコバルの心臓が一瞬高鳴る。リィガル族は敵――それも、何世代にもわたり対立を重ねてきた宿敵だ。
互いに目が合った瞬間、両者の身体が自然と戦闘態勢に入った。
言葉は必要なかった。
リィガル族の若者が拳を振り上げ、コバルに襲いかかった。コバルはその一撃を紙一重でかわし、すかさず反撃に転じた。
二人の肉体がぶつかり合い、川辺の静寂は破られた。
拳と拳が交わるたびに、二人の男根は揺れ動き、先端からは先走り液が飛び散った。
リィガル族の若者の一撃がコバルの腹部を捉えた。コバルはよろめきながらも体勢を立て直し、今度は自分の番だと言わんばかりに強烈な蹴りを放った。
コバルの脚はリィガル族の若者の脇腹にめり込み、その身体を吹き飛ばした。