剣の主
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No.263
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アブ・キルは口から先に生まれてきたのではないかと思われるほど良く喋る男だった。 放っておけば2時間でも3時間でも喋り続けた。 喋り疲れると彼は木陰で眠り、目が覚めるとまた怒涛の如く喋り出した。 その話の内容は以前にも記したが“女の話”と“他人の悪口”の二つに大別された。 その大まかな内訳は、女の話が約3割、悪口が約6割、その他が約1割で、大半が他人の悪口だった。 悪口とは、職場、上司、同僚、先輩、後輩、親戚、近所の人々、政治、社会などに対する不平不満、恨み辛み、もしくは他人の不幸や失敗談などの醜聞に対する侮蔑や嘲笑だった。 そんな彼の負の情念がたっぷり込められた言葉の数々をセイルは延々と浴びせられ続けた。 言葉には見えない力がある。 アブ・キルの負の情念は話を聞かされるセイルの心の中に少しずつ、しかし確実に蓄積されていった。 別に彼自身が嫌な思いをしたり不遇な目に遭った訳でもないのに、それらの体験を聞かされ続ける事によって、まるで彼自身がそのような体験をしたかのような、重く、暗く、沈んだ気分にさせられた。
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