扉を叩く乾いた音が響いた。
「お客さんが来たみたいね。」
口のクリームをふき取りながら先生が僕にドアの開閉を促した。
個室に作り替えたとき、古い車両の扉を取り付けたらしい。無意味に重厚なその扉を僕がグアラリと開けた。
そこには20台前半と思われる少し痩せた青年が立っていた。
僕はてっきり、権力を振りかざす太った中年男性を想像していただけに、少し以外な気がした。
「あの。例のタクノロスの研究を依頼したものです。先生がこちらでお会いするということでやってきました。」
「はい。先生はいらっしゃいますよ。何か飲み物でも頼みましょうか。」
「いえ、実は患者の容体が悪化しておりまして、すぐにでも先生に来ていただきたいのです。」
「それなら、電話でおよびくださればいいですのに。」
「いえ、ことは一刻を争います。この近くの広場に自家用ドローンをご用意してありますので。すぐにでもおこし下さい。」
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