女嫌いが女になったら 53
その中国人コンビ(笑)とは・・・如何なる者か?
バケツを蹴っ飛ばす直前。
『ほほっ、孫。今日もぎょうさん稼ぎそうやで。』
『はぁ、そうですか。まいどまいどですね〜。』
学ランに黒髪のひっつめロングヘア。切れ長な瞳の端整な顔立ち、がっちりした体格の男と黒髪の長髪、同じく端整な顔立ちの男が歩いていた。
一人は劉 元覇(りゅう げんは)。
交換留学生として日本に滞在している中国人だ。勉学の為なのだが、片手間にある目的で来ていた。
彼は元々中国奥地の農村出身。
最近の経済発展に伴い自ら会社を起し、それを順調に発展させ、今では若くして大金持ちになっている。
彼には携帯電話やノートパソコンが欠かせない。いつもメールや電話でやりとりしながら、自分の会社を運営しているのだ。
その彼の密かな悩みは嫁取り。
『はぁ〜数世はん。ワイは絶対、あんたはんをお嫁はんにしますさかい。待っててくらは〜い。』
『はぁ・・・。』
溜息を付く少年。彼の名は孫 雷覇(そん らいは)
彼も中国人なのだが、横浜育ち。
元覇とは生まれが同じ所なので、同郷の誼で一緒に生活している。
まぁ、元覇のサポート役と言った所だろう。
彼の悩みは元覇の暴走。特に数世に対しては、異常とも思える熱意に同情はしているが、内心心配している。
そんな彼らの前に怪しいゴミバケツが(笑)
『おんや〜?孫、変なバケツが歩いてはるな。』
『そうですね。あ、あれは数世さん。もしかして・・・ストーカーかもしれませんよ。』
それを聞いた元覇はみるみる怒りを露にしていく。
眉間には血管を浮き出させ、わなわなと唇を震わせている。
心無しか、バックには巨大な龍の姿も。
『なんやてーーーー!?ワイは許さへんでぇ!天誅ーーーーーーー!!』
思いっきり怪しいバケツを蹴り上げる。
蹴り上げられたバケツは大通りの方へ飛んでいく。
元覇はふうーっと呼吸を整えている。
『数世はんに近づく不貞の輩は、ワイが成敗するさかい。・・・・数世はーん。今行くでぇ〜♪』
数世達の方へ元覇が走っていく。そんな様子に雷覇は。
『やれやれ・・・。』
と溜息を付いていた。