女嫌いが女になったら 1
俺は皇数矢(すめらぎかずや)。今年で17歳になる都立坂崎高校の二年生だ。
・・・俺は大の女嫌いで、昔から女という女を避けていた。見ただけで、嫌悪感が沸き上がるほどだ。
しかしそれは生まれつきなので、自分にも理由は解らない。
そんな俺は今、大変な状況に置かれている。
鏡の前に立つ。そこに映し出されているのは・・・
美しい艶やかな黒髪、透き通るような白い肌。あどけなさを残しながらも美しく整った顔立ち、ぱっちりとした愛くるしい瞳。そして胸にある立派な双丘。
そう・・・俺は、女になってしまったのだ。
鏡を睨みながら、その女性特有のラインを、ヒップから腰、バストへと、手で確かめるようになぞる。
プリンっと丸みを帯びながらも、ツンと上を向いたヒップ。綺麗に引き締まったウエスト。何よりボリューム満点、弾力、形言うことなしの美巨乳。Fカップはゆうにあるだろう(自分では解らない)。
『どー見ても・・・女・・・なんだよな・・・。うっ・・・やっぱり気持ち悪りぃ・・・。』
自分の身体の変化を確かめ終え、そう呟いた声。何とも可愛いらしい萌えボイスそのものだった(萌えなどという言葉には無縁な皇だが)。
悲しいかな、いくら鏡を見続けた所で、萌え萌えっ子となった自分から逃れる術はないのだ。・・・あのエロ仙人の言い付けを果たさない限り。
『あのエロジジィ・・・!』
それは十日ほど前の早朝の事だった。
俺はいつも通り、6時に目を開けた。爽やかな陽射し、心地よい小鳥の鳴き声に応えるように上半身を起こす。いつもと変わらない清々しい朝・・・の、はず、が。
何かおかしい。
視線が低い・・・?
寝巻もぶかぶか・・・?
だが、胸のところだけ何だかきつい。
『あれ・・・?えっ・・・?』
何だこのソプラノ声は!?
とりあえず自分の姿を確認しなくては・・・。
ふと自分の手を見遣る。白くて細い指・・・小さくて綺麗な手。
顔をぺたぺたと触る。すべすべしっとりもちもち・・・何コレ?しかも何か小さいし。
そして先程から気になっている胸・・・。そこには、迫力満点の双丘が、重力を無視するかのようにツンと聳えていた。マジスか?試しに掴んでみる。
『うわっ・・・。嘘だろっ・・・。』
マシュマロのように柔らかいと思えば、ゴム毬のような弾力。何より、自分の身体の一部になっていたのが驚きだった。
そして・・・。
思い切ってその胸を揉んでみる。
むにゅむにゅ…柔らかい。うん、本物だ。これって…おっぱい…だよな?むにゅ…たしか、女に付いている…むにゅむにゅ…はぁはぁ…
『…あはぁん♪』
何だか体がぽかぽかして気持ちいい…何時までも揉んでいたいけど…ってこれってマジィイイイイ!!?
『…って事は…!!』
パジャマのズボンの股間を撫でてみる。ダブダブで何だか頼りないけど。うん?あれ?…いつもの…え〜と…そうだ!何時ものアレの感触がない!