女嫌いが女になったら 121
と、同時期の校内……
くしゅん!、と可愛らしくくしゃみをした小百合……背中の悪寒に『風邪かしら?』と小首を傾げるが、それがオカン(大阪弁で言う所の母親)が元凶とは思いもしていない。
しょーもないギャグはさて置き、帰り支度中の小百合に背後から忍び寄る影があった。
むにゅっ!……
「お・ね・え・ちゃ・んっ!」
いきなり背後から胸を鷲掴み!
背中に当たる柔らかい感触と声で誰だかは解る。
「ふぎゃぁ!……やっ、止めなさい!、彩乃っ!!」
彩乃……小百合の1つ年下の困った妹を振りほどき、ゴスッ!っと拳骨を頭に落とす小百合。
「いた〜い!」
頭を押さえる彩乃だが、これで懲りるようなヤワではない。
「彩……さゆ姉にそれしたら、そうなるって……」
呆れたような、諦めたような表情を見せるのは、年下の叔母姫乃。
叔母ではあるが、小百合との関係は姉妹のようなものである。
因みに、多岐家において『母』とはグランマの事で、優奈の事は娘達も『お姉ちゃん』と呼ぶのが通例である。
小百合より丸顔で童顔、スカートを極限まで短くし、髪の毛をツインテールに纏めた彩乃、自分の可愛さを理解して最大限にアピールしている所は姉とは似ても似つかない。
むしろ叔母である姫乃の方が小百合と似ていて、ストレートヘアに眼鏡、制服を標準その物に着こなした優等生タイプである。
似てはいないが、彩乃は自他共に認める『姉萌え』で、過度なスキンシップで小百合を困らせ、姫乃の方は『多岐家の理性』として小百合の良き相棒となっている。
『ところでさゆ姉、谷川さん見なかった?』
『そうそう小町ちゃん見なかった?先生が呼んでいたの』
どうやら二人は小町を探している様だ。
ちなみに二人と小町は同じクラスである。
『あら小町ちゃんなら音楽室にいたわよ、もしかしたら今も居るかも』
『ありがとうさゆ姉、彩乃行こう』
『うん行こう行こう、じゃお姉ちゃんまた家でね!』
二人はそう言うとまるで嵐の様に小百合の前から去って行った。
だが二人がその直後運命的な出会いをするとはその時はまだ知るよしもなかった。
※この後、数世を巡りまた一悶着ある訳ですが、誠に勝手ながら此処で「女嫌いが女になったら」を打ち切らせていただきます。
理由については作者の力量不足が大きく起因しており、物語に携わった著者の皆様、応援していただいた読者の皆様には大変申し訳なく思う次第ですが、何卒ご了承下さい。
また「女嫌いが女になったら」に出会った際には、罵声でも結構です、お声をお掛け下さい。
今まで本当にありがとうございました
女嫌いが女になったら〜町田鈴美