「若菜、ごめん」
慌てて翔真くんが手を止めた。私は何も言わずに彼を見た。
私は抗議の気持ちとちょっと名残惜しそうな気持ちの両方を、表情に出していると思う。
でも翔真くんが上手すぎるのと、こんな気持ちを抱かせたのが悪いんだから。
「最後まで、ちゃんとしてね」
「あ、ああ」
翔真くんがマッサージを再開してくれた。やっぱり気持ちいい。私が彼の事を想っているからだろう。
声をあげないよう気を付けながら、私はこの気持ちよくて幸せな時間を味わう。
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