案の定、鞄の中には着替えの為の数枚の褌と幾らばかりかの銅貨かあるだけで、大男を落ち着かせる物など入っていないのは分かってはいたことだ…せめて護身用にナイフぐらい持ってくるべきだったと今更ながらに後悔する…
ちくしょう…ウィレムは小さく毒づく…
こんなことになるのなら、こんな不気味な森なんかに逃げ込んだりせずに、山賊にありったけの銅貨を差し出しておけばよかったとすら思う…
ありったけと言っても大した額ではない…
安宿に泊まり、パン1切れとワインが一杯飲める程度の微小な額に過ぎなかったのだ…
それを惜しさえしなければ、今頃は何処かの納屋にでも潜り込み、乾燥した藁の上で自慰に耽ることも出来たのだ…と、口惜しさすら感じてしまう…
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