「・・・」
「どうだ? 美味いだろう」
無言でスクランブルエッグを一口ほうばる智に少女は自慢げに言う。口に入れた瞬間、トロっと蕩けるタマゴにコショウのスパイスが丁度良い具合で効いていて、確かに美味い。
普通であれば喜び、口元がニヤけてしまうのだが、清二の表情には何の変化も見られない。
「・・・おい。 いい加減何か喋ったらどうだ。 先ほどからその仏頂面をされては美味い朝食が不味くなる」
「・・・・るな」
「・・・何?」
「ふざけるなって言ってんだよっ!!」
ダンッ、と強くテーブルを叩き大声を上げる智。叩いた拍子に水の入ったグラスが倒れ、白いシートを濡らしてしまう。
「何なんだよお前達はッ! いきなり現れていきなりキスして! 訳の分からない事をべらべら喋ったと思えば森だったのが食堂に変わってるッ!! 本当にお前達は何なんだ!!」
鬼の形相で目の前の少女とメイドを睨み溜まりに溜まっていたフラストレーションを一気に爆発させた。
これが彼を良く知る者たちであったら驚き、呆気にとられていただろう。
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