PiPi's World 投稿小説

脱獄犯No,0013-投稿-

高次は走った。目指すは北の方角にある海。この国で唯一、自分の居場所と呼べる場所だ。
「人が倒れてるぞ!」「事件だ!」
後ろから何人かの悲痛な叫び声が聞こえたが、高次は走り続けた。今はとにかく海にたどり着くことしか頭にない。
「おい!あそこだ!追え!」
サイレンの音と共に、警察官たちの怒号が近づいてくる。高次は小道に逸れ、人ごみに紛れ込んだ。
「くそっ、見失ったか…」
警察官たちの声が遠ざかっていく。高次はほっと息をついたが、まだ安心はできない。

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