祭り囃子
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しっとりとした空気が日暮れの町を包む。オレンジジュースみたいな色の夕焼けだ。遠くの方ではひぐらしの声、そして夏風に乗って祭囃子が聞こえてくる。今日はお祭り。年に一度の、夏祭りだ。 それなのに俺はというと…。 ◇ ◇ ◇ 俺はベッドの上に転がっていた。 夏祭りに行かず、もちろん浴衣なんて着ていない。素っ裸で、みじめったらしく天井を眺めていた。 部屋は暑いのに、寒気がした。 夏風邪かもしれない。あるいはもっと別のものかも。 それもこれも、すべてはあの夢のせいだ。 そう、あれは夢だ。ただの夢だ。 なのに俺はその夢から抜け出せないでいる。 あの夢が頭から離れないせいで、俺は夏祭りに行くことが出来なくなってしまったのだ。
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