俺はフンフンと鼻歌混じりに、冷蔵庫から食材を見繕い、フライパンを振ったりもした。
実家に持って行こうと思っていた、引き出物でもらった銀のスプーンをおろしたりもした。
洗面所のカゴに溜まった洗濯物を、雛のそれと一緒に回したりもした。
しかし、時間だけが過ぎていった。
料理は冷めて、生野菜はその量を半減させていた。
銀のスプーンは食卓に妙に浮いて見えていた。
窓辺に干したトランクスは、雛のショーツと風に揺れ、完全に乾いていた。
夕刻を過ぎても、雛は帰ってはこなかった。
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