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異端児カラス
【学園物 官能小説】

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異端児カラス-7




「今の私」だからヤマトが見つけてくれて、「今の私」だからヤマトが好きになってくれた―――。


「……もうええやろ。過去の自分のこと―――許してやれ」



「自分を……許す―――?」




予想もしていなかったヤマトの言葉に、私は一瞬戸惑った。


私を一番許せなかったのは―――私?


叔父の凌辱に濡れてしまったあさましい肉体。
繰り返される虐待に抵抗をあきらめてしまった心。



そんな自分を、誰よりも嫌悪していたのは、確かに私自身だったのかもしれない。




記憶の奥で泣いている幼い私。


ある日を境に豹変した叔父の態度に、どうしていいかわからないまま、床に押さえつけられて怯えている15歳の少女。


自分自身にさえ許してもらえなかったかわいそうな女の子。


愛の意味さえ知らず、自分が本当に守るべきものもわからないまま、全ての悩みを独りで抱えこんで………。


私は「彼女」の震えている幼い身体をギュッと抱きしめた。




ごめん―――――ごめんね。
つらかったよね。
恐かったよね。


私は身勝手で傲慢だった。


人生をリセットして
「あなた」という存在を
消してしまいたいと思っていた。


あの時のあなたがいるから
今の私がいるのに。


過去の全てをひっくるめて
今の私なのに。


もう大丈夫だよ。
あなたを独りにはしない。


今の私をまるごと
認めてくれる人に出会えたから――――。






私はいつの間にか、自分で自分の身体を抱きしめていた。


こんなにも自分を愛おしいと感じたことは初めてだった。


「ヤマト……私を見つけてくれて……ありがとう」


いつかと同じ言葉を、私はもう一度言った。






「相原――大好きやで――」





「……うん……」






私たちはやっと向かい合って、ぎゅっとお互いを抱きしめ合った。


愛しいそのひとの表情を確かめたくてゆっくりと視線をあげた瞬間、私は言葉を失った。


瞼と口の横に殴られたような痣があり、うっすらと血がにじんでいる。




「……顔…どうしたの……?」



急に悪戯を見つかった子供のように、少しバツが悪そうに頭を掻くヤマト。



「………ヤナと……ケンカした……」



「――ヤナと?」



「……おん……」



私だけに見せてくれるこの無防備な表情。
私はやっぱりこの人が好きなのだと思い知らされる。




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