裏切り-6
「………ヤナ……ああっ…………も……ダメ……」
相原は肯定とも否定とも取れる喘ぎをもらしながら、背中を壁に押し付けるように身体をのけ反らせた。
「……気持ちイイんだろ?」
俺は指の動きを更に激しくしながら、物置部屋であの女に言われたことのある言葉を口にしていた。
「……はぁ……はぁ……はぁっ……や……やめ……おね……」
目の前で悶え苦しむ相原が、幼い頃の俺にダブる。
『……はぁ……はぁ……はあっ……や…やめてくれ……!』
―――薄暗い物置の中。
壁に身体を押し付けられて、強引に勃起させられた陰茎を妖怪のような女にしゃぶられる12歳の俺。
いつもと同じように、俺の意思に関係なく下半身を異様な快感が支配していく。
『……気持ちイイんでしょ?』
上目使いで俺を見上げる女。
『……やめろ……イヤだ……やめてくれ……』
激しい吸引と手の動きに翻弄され、勝手に昂ぶらされていく俺の身体。
『亮くんの精液を……アタシに全部ちょうだい……』
女は自ら片足を持ち上げ、俺の硬くなったぺ○スを濡れた花弁にズブズブと挿入する。
嘔吐しそうな嫌悪感と強烈な快感が俺の下半身をかけめぐる。
ヤメテクレ!
ヤメテクレ!
ヤメテクレ!
激しい吐き気と頭痛が俺を襲う。
呼吸のスピードが不自然に速くなっていく。
ヤバイ………。
息ができない……。
必死で息を吸っているのに、苦しさがどんどん増していく。
ダメだ……。
苦しい………。
目の前が真っ暗になって俺はその塲に崩れ落ちた。
「ヤナ―――!」
相原が俺の名前を読んでいる。
遠のく意識の中で、俺は考えていた。
―――相原。
セックスに意味なんてない。
俺たちは……そう思わなきゃ生きていけないだろ。
そう思わなきゃ……
過去の幼い自分を
守ってやれないじゃないか。
俺は間違ってるか…………?
――こんなやり方しか出来ない俺を
許してくれ―――。
相原……ごめん……。
END