投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

夜明けのシンデレラ(♂)
【ラブコメ 官能小説】

夜明けのシンデレラ(♂)の最初へ 夜明けのシンデレラ(♂) 6 夜明けのシンデレラ(♂) 8 夜明けのシンデレラ(♂)の最後へ

夜明けのシンデレラ(♂)-7

「ん〜…浅ましい半分、いじらしい半分ってとこ?」
「そう…かなぁ」
「恋愛なんて、そんなもんだよ。『これが清く正しい答えです』なんて、あるわけない」
遠い目をして、呟くように比呂美が言う。

「先生、元気?」
「うん、相変わらず。来年、娘さんの成人式だって」

比呂美は、三年前から妻子ある大学教授と不倫している。
二回りも歳の離れた、まるで父親のような『先生』との関係は、結婚というゴールを望まないことが前提なのだという。

それが、比呂美の恋のカタチだ。

「あ〜ぁ、幸せな恋をしてる人が世の中にはゴマンといるってのに、うちらはうまくいかないねぇ」
制服に落ちたクロワッサンのくずをはたきながら、思わず私の口からは愚痴がこぼれる。

「ばぁか、痛みこそ人を愛する醍醐味ってやつなんだよ」
「おぉ!なんだか深いね」

プチ感動しながら隣を見れば、焼きそばパンの青海苔が歯に付いてないかと、とんでもない形相で鏡をのぞき込んでいる親友の姿。

「その顔…先生にも見せるの?」
「うん。私、自分の全てを知ってもらいたいやつだからさ。もちろん、先生のことだって全てを知っていたい」


「――私もですぅ!!」

「「出たな、瑠璃子…」」

三十路に突入したオンナ二人が、ちょっとアンニュイな感じ(あくまでイメージ限定)で己の恋の生き様を語ってたっていうのに…。

突然の乱入者は、入社二年目の瑠璃子。

うちの会社は、さほど大きくない地元密着の建設会社だから、女子職員も数名しかいなくて、割とみんな仲がいい。
よって、こいつが休憩中の私たちに絡んでくるのもいつものこと。

ただね…『23歳、まだ女子大生気分が抜けてませーん』な瑠璃子の話に、大概はついていけない。

歳取ったもんだわ、私もね…。

「――で、あんたは何を知っていたいって?」
煙草に火をつけながら、これまためんどくさそうに比呂美が尋ねる。

「せんぱぁい。お二人は、日曜日ってお暇…ですよねっ?」
…断定か?
そりゃ、智哉にも会えない日曜日は腐ってるけどさ。

「なんで?」
更にめんどくささを増した様子で、比呂美が問う。
…瑠璃子、空気読まないと比呂美姉さんは怖いよ。


「先輩方、一緒にゲートボールやりましょう!!」


「…………ゲ?」
鬼太郎??

「違いますって〜。ゲートボール!!」
「「いや、意味わかんないんですけど…」」



夜明けのシンデレラ(♂)の最初へ 夜明けのシンデレラ(♂) 6 夜明けのシンデレラ(♂) 8 夜明けのシンデレラ(♂)の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前