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夜明けのシンデレラ(♂)
【ラブコメ 官能小説】

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夜明けのシンデレラ(♂)-20

「――各々方っ!!」

突然、ビリビリと窓ガラスが割れるんじゃないかっていうくらいの、ドスの効いた張りのある声が辺りの喧騒を一瞬で制した。

(…おじいさん?)

振り向けばそこに、着物姿で白髪の男性が杖を片手に立っている。

「日頃の皆々様の多大なる御声援と御厚情、誠に感謝致しておりまする。透悟を慈しみ、愛でてくださる皆々様のお陰で、こやつも今日の成長を遂げることができました…」

さっきまでの大混乱な現場とは打って変わって、突然現れた謎の御老人が演説を振るうラウンジは、静寂と緊張感に包まれていた。

「しかしながら!本日は、透悟にとって人生の掛かった一大事でございます。…どうか皆様、御理解と最大限の御配慮を頂きたい」

そう言って、御老人は深々と頭を下げた。

「ちょっと…あの人、奥先生だよね」

央太と私の前にいた、OLさんらしき二人組の小声が耳に届く。

「…あの、奥先生って誰っすかぁ?」
思いがけず行動力のある央太。

「あ、あぁ。東日本ゲートボール協会長よ。ほら、平日の毎朝、透悟くんと『みんなのゲートボール』って番組やってるじゃない」
「――ば、番組!?」

思わず素っ頓狂な声を上げた私に、OL二人組は明らかに訝しげな視線をぶつけてくる。

でも、そんな些細なことなんかどうでもいいと思えるくらい、私の頭はパニックだ。

「央太…。私、智哉に嘘つかれてたのかな?いや、もしかしたら、始めから誰もいなくて、全ては私の思い込みだったのかも…」
「いやいやいや、そこにいるから!智哉さんだか王子だか知らねぇけど、幻ではないからしっかりしろ!」

央太が私の両肩を掴んでガクガク揺するけど、もう姉ちゃんは魂が抜けそうだよ…。

「おぉい!姉ちゃーん…」


「――高杉様ですね?」

央太の動きが、ぴたりと止んだ。

「…央太?」
抜けかけた魂をなんとか吸い込んで、何事かと央太を振り返る。

その視線の先に――黒いスーツにサングラス姿の外国人。

…あぁ、ハリウッド映画によく出てくるよね、こんなカンジの人。
はいはい、もう何があったって驚きゃしないわよ。

「いかにも、私が高杉 桜子よ。さぁ、煮るなり焼くなり好きになさいな!」
「…姉ちゃん、台詞が昭和っぽい…」

「――我が主がお二人をお待ちしております。こちらへ…」

精一杯凄んだ(つもりの)私には目もくれず、至極冷静な態度で彼は私たち姉弟をエレベーターへと誘導した。




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