投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

異端児カラス
【学園物 官能小説】

異端児カラスの最初へ 異端児カラス 55 異端児カラス 57 異端児カラスの最後へ

疑心-4



―――え?




思わず手がとまる。





『エタニティ』


―――雪乃がつけていた香水。



その香りは間違いなくヤマトのケータイに染み付いていた。



雪乃がベッドに寝そべって、勝ち誇ったような微笑みを浮かべながらヤマトのケータイをいじっている姿が目に浮かぶ。




ヤマト………
この香り――いつついたの?



花火大会からは日がたちすぎている。



ひょっとして、あれからまた雪乃さんと会ってる―――?




女の甘い香りを放つケータイ。
その緑の着信ライトが、まるで私を挑発するように点滅していた。




「ヤマト――ごめん」




見てはいけないと思いながら、自分をどうしても抑えることが出来ず、私はケータイを開いていた。




『不在着信5件』
『新着メールあり』




胸がドキドキした。
――私、何やってるんだろう。



震える指で受信フォルダを開くと、そこには案の定、一番見たくない名前があった。



『雪乃』



やっぱり―――。



心臓をえぐられるような鋭い痛みが私を貫く。



画面にはついさっき届いたばかりの最新メールが表示されていた。




『昨日は会えて嬉しかった。今日は6時に彰吾の家にいくから………』




その瞬間、頭が真っ白になった。



何―――?
昨日雪乃さんと会ってたの?
今日も、また会うの?
ヤマト―――?



ハートがいっぱいちりばめられたピンク色のメールは、その後もまだ長々と続いていたけれど、怖くてその先の文面が読めなかった。



私は自分の鞄をつかんで立ち上がった。
もうまともにヤマトの顔なんか見られない。



慌てて出ようとしたドアのところで、ちょうど部室に入ってきたヤナとぶつかった。



「おっ…と………相原?」



私のひどい顔を見てヤナがぎょっとしたように目を見開いた。





異端児カラスの最初へ 異端児カラス 55 異端児カラス 57 異端児カラスの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前