記憶-3
俺は好きだとは一言も言っていないのに、真純は勝手に気持ちが通じあったと思ったのかもしれない。
この女のこういう自分勝手な解釈が俺は嫌なのだ。
とにかく俺はイライラしていた。
「真純……」
髪から耳、頬、そして顎のラインを指先で軽く撫でまわしながら俺はもう一方の手を真純の腰にまわして強く抱き寄せた。
真純はひどく怯えたようにギュッと目を閉じて、俺のTシャツにしがみついてきた。
身体が微かに震えている。
ガキのような顔つきに反比例した、思いのほか肉感的な身体。
ウエストが少しずん胴気味だが、それば我慢ができる。
俺は痩せた女は嫌いなのだ。
「真純……こっちむいて……」
俺は真純の顎をクイッと引き上げ、素早く唇を重ねた。
「……ん……」
真純は一瞬戸惑って目を見開いたが、すぐに大人しく目を閉じた。
緊張で固く閉じている唇を舌の先で小刻みに舐めてやると、真純は観念したように薄く口を開けた。
その隙間に素早く舌をねじこんで唇を強引に開かせると、そこからため息のような喘ぎ声が漏れた。
「……はあっ……」
少し乱暴に舌を挿入させたが、真純は戸惑いながらも俺に答えようと自分から舌を絡ませてきた。
つたない舌使いで、一生懸命に俺の口にむしゃぶりついてくる。
こんなに一途で真面目な真純が、何故俺みたいな奴を好きになってしまったのだろう。
俺はたぶん、真純が期待しているような恋愛ができる相手ではないのに――。
唇を重ねたまま、Tシャツの下から背中にゆっくり手を入れると、真純は色っぽく身体をくねらせた。
指先でホックを外して、背中に五本の指先を軽く這わせる。
反応を見ながら真純の快感を引き出すようにじっくりとそこを撫でてやると、硬く強張っていた身体から少しずつ力が抜けていく。
真純の息はすでに荒く乱れていた。
「……はあっ……あっ……」
その部分に触れてみなくても、背中への愛撫だけでもう真純がじゅうぶんに濡れているという確信があった。
たいていの馬鹿な男は自分が好きな場所ばかりを愛撫するから女にすぐ飽きられるのだ。
「……ヤナ……先輩……」
真純はトロンとした目つきで俺に身体をあずけている。
俺は真純の身体を跳び箱に押し付けてTシャツをまくりあげた。