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今夜、七星で Yuusuke's Time
【OL/お姉さん 官能小説】

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今夜、七星で Yuusuke’s Time <COUNT3>-10

動く気配はするが、椿さんから声をかけられることはなかった。


「ケツ向けろよ」


幾分乱暴に言い捨てて、灰皿を足で除ける。黒ずんだフィルターが皿の中で崩れていく。

無言で言いなりになる椿さん。
そういうことでしか満たせない自分。
そして満たされない自分。

滑稽で、どこか狂っているんだろうな。崩れたフィルターのように、何かのきっかけで。物凄く簡単に崩れてしまうんだろうな。
例えば、樹里さんと俺の関係みたいに。壊れればあっという間に他人になっちまう。

椿さんだって、きっと。


「どうしたの?」


一向に入れようとしない俺に、不安顔で椿さんは声を掛けてきた。
なんでもない、そう呟いて少し柔らかくなってた俺を無理やり突っ込み腰を動かした。
じゅぷ、じゅぷ、と軽快に音は鳴る。
奥を突くたびに椿さんの声も高くなり、肉付きのいい張り出た尻は見ているだけで欲情を刺激する。
だけど俺はいまいち昂れない。
気持ちいいのは認める。だが。


「ああああぁぁ!いくぅ、いっちゃううぅ」


その声に急がされるように腰を振るが、射精感は緩やかで。
なんとか達した時は、すでに椿さんの意識が混濁していた時だった。







結局17時近く、雪はとうに止んだ頃、椿さんを自宅まで送った。
JRは運行再開したらしいが、椿さんを追い詰めてしまった責任としてタクシーで送ることにした。なんとも恥ずかしい話だ。

椿さんの体を支え、目深に被ったニット帽で表情を隠す。
目白とはいえ、昨日さぼった理由もある。堂々と闊歩するには気が引けるから。



数時間前は一面の銀世界だったのだが、長く続かないのが東京だ。道路は泥にまみれ、排気ガスと二酸化炭素で雪は水へと状態変化。
珍しい雪のせいか、事故は多発。ひっきりなしに警察車両が横切っていく。


「マンション見えたよ」

言われた方向にタクシーを走らせ、それとなく聞いていたマンションが遠くに見える。

「うん。……あ、ここでいいです」

まだ遠くだというのに、渋滞でノロノロと走るタクシーを降りる。
俺が口をはさむ前に、「お茶、飲んで行こうよ」、と誘われてしまった。
断る理由はない。と、いうか。何考えてるんだか見当がつかない。
こういうことを言う女だっけ?


「いいよね?」


椿さんが振り返る。歩道沿いのカフェ、ここの入ろうか、と言うことらしい。
俺が甘えたように、何かしら椿さんの心に変化が起きたのだろうか。
あんなに頑なで、俺を毛嫌いしていたはずなのに。

まあ、いいか。
俺は首肯し、その後ろについて店内へと入っていった。


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