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非線型蒲公英
【コメディ その他小説】

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非線型蒲公英-7

「うわ、凄いことになってるみたい…」
「え、どうなったんですか?」
「さとっちがひよりんを押し倒しちゃった」
「えええっ!! まだ昼間なのに!?」
「そうだな、確かに襲うなら夜の方が萌えるな」
「んー、でも、無理やりだからねー、やばいかも」
「では、助けるか?」
「そ、そうしましょう」
「そうだな。お前の大事な遊佐間に何かあってからでは遅いからな」
「違います!! 色々!!」
 扉をいじっていた香奈が振り返る。
「ねぇねぇ、鍵かかってるよ?」
「そりゃ、当たり前ですよ…」
「まかせろ。この程度の錠など3秒だ」
 と、言って、ごそごそと道具を取り出す。
「まさかピッキングですか?」
「いや、面倒な事はしない主義だからな。指向性爆薬を使う」
「ば、爆薬!?」
「司くーん、離れた方がいいよー?」
 と、もうすでに避難済みの香奈。
「1、2、3で行く。1、2…」
「ちょ、待っ…」
「3」


 そのころ妃依は、聡によってエプロンが外され、ボタンも半分以上外され、かなりあられもない格好にされていた。
「ハァハァ!」
(…怖い。けど…冗談でも、誘ったの、私だし…別に、嫌じゃない…し……んっ…)
 半ば諦めに近い感情の中で、妃依はこのまま混濁とした意識に沈んでしまおうかと考えていた。だが、はたと聡の手が止まった。
「…せ、先輩…?」
「はぁはぁはぁ…ぁ…? あ、あれ…俺…」
 正気に戻った聡は、凄いものを目にした。
 服がはだけて、肩を震わせ、頬を染め、涙目で俯く、妃依。
「…いいですから、私…」
 前髪で表情も見えず、ただ、唇が弱々しく紡ぐ。
「ひ、ひよちゃん…!! ご、ごめん…俺…」
 いつもの勝気な感じが消え、彼女は小柄な体格も相まって、年齢より幼く見えた。
 先ほどとは違い、欲望よりも、強い罪悪感が身を包んだ。
「こんな、するつもりじゃ、なくて…その…」
「…いいんです、先輩にだったら、ほんとに…」
「あ…でも、泣かせるようなことして…ごめん」
「…だったら、優しく、してください」
 少しだけ、いつもの感じで、言った。
「ぅ…うん。分かった。優しく、するから…」
 と、同意の上での行為に移ろうとしたその時。
 ボン! と、入り口の方から音がしたのとほぼ同時に、聡の頭にはドアノブがめり込んでいた。
「げこ!!!」
 と、間抜けな声を上げて吹っ飛ぶ聡。
「ひよりーん! 大丈夫? まだされてない? うん。血は出ていないから未遂ね」
「…な、何が…」
「ふう、間一髪か」
「げほ、やり過ぎですよ…先輩」
「…どうして、ここにいるんですか」
 少々、怒気を孕んだ声。一気に空気が冷める。
「あ…あはははははは!!」(どうしよう、かなーり怒ってるネ)
「と、通りすがりだ、うむ」(まずいな、洒落にならん)
「そ、そうたまたま、通りかかったら、宍戸の悲鳴が…」(ぼ、ボクは知らない、違う、違うんだ)
「…ここ、4階なんですけど、たまたま、通りすがったんですか、へぇ」
 さらに、重くなる。
「こいつが『覗きましょ〜よォ、センパイ』と、私達にしつこく言うものだから…」
「ひ、酷い! 切り捨てる気ですか!?」
「そそ、そうそう『一緒に覗いてくれないと、アレ、バラしますよ? グヘヘ!』って、脅されて」
「なんですか! それは!」
「…つまり、三人とも、共犯、と」
 ツララの先端で喉を突付かれた様な表情になり、黙り込む三人。
「あ、あははは…怒ってる?」
「…愚問です」
「…う、うぅーむ…一体何が…?」
 聡が目を覚ます。
「…あ、大丈夫ですか、先輩」
 今までの重く冷たく鋭い声とはまるで違う、柔らかな声で言う。
「っててて、あれ、ここは? 俺は何してたんだっけ?」
「…覚えて、無いんですか」
「え? 確か、ひよちゃんが手料理を作ってくれるって言って…って、ひよちゃん! どうしたの、その格好!」
「…覚えてないんですね、本気で」
「で、何で香奈と美咲と司が…?」
「…はぁ、もう、いいです」
 明らかに聡に対し落胆した様子だったが、聡は何が何だかさっぱり分からなかった。頭がズキズキするだけだ。
「あれ、もしかして俺、ひよちゃんに何かした?」
「…されました。凄く、恥ずかしい事されました」
「わー、甲斐性なしだね、聡君!」
 言ったとたん、妃依にキッと睨まれ、たじろぐ香奈。
「ご、ごめんなさーい…」
「よく分かんないけど、俺もごめん…」
「…二回目ですよ、謝るの」
 ボソッと小声で呟き、ため息をつく。


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