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アイカタ
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アイカタ―――後編-2



「………へ?」


頭の中がおっぱいやらチンコやらでいっぱいになりかかっていた俺は、一瞬にして現実に引き戻される。



「サクラ、咲いたで。合格や」


「………合……格………」



真弓と別れて、自分を追い詰めて、一晩かかってやっと奮い立たせた「勇気」が、一瞬にしてしおしおになりそうになる。


それでも俺は精一杯の虚勢を張って、心にもないお祝いの言葉を棒読みした。


「へえ。そりゃ――――おめでとうさん」


「――なんや?もっと喜ばへんの?」


「は?なんで俺が―――」


胸が苦しくなって、ツッコミの言葉が途切れてしまった。


未来行きのピカピカ輝く超特急。
シーナは苦労して、たった今その乗車券を自分の力で手に入れたんや。


それを横から取り上げて、ビリビリと破りすてる権利が、果たして俺なんかにあるんやろうか――――。







「ま――――ほな、行こか」


シーナがキリッと表情を変えて、本気モードになったのがわかった。



「………お、おん………」


ぐずぐず考えててもしゃあない。
俺は俺に出来ることを精一杯やって、シーナに誠心誠意気持ちを伝えるだけや。



俺に出来るんは、それだけや―――。



改めて受付でエントリーを済ませて控え室に向かいながら、さっき買ったドリンク剤を無言でシーナに手渡した。


「おっ?サンキュ」


手と手が一瞬触れるだけで、何故かやたらと照れ臭くてドキマギしてしまう。


なんか今日の俺ほんまにおかしいわ。


好きな女にプロポーズする時ってこんなんなんかな―――とぼんやり考えた。


将来そうなる可能性が一番高かった相手と、俺は昨日別れてもうたけど………。





「うおーっヤル気出てきたで!」


シーナは歩きながらドリンクを一気に飲み干すと、フンと鼻息を吐きながらガッツポーズをとった。


「ようしケンタぁ!今夜は寝かさへんから覚悟しろー!」


「……は!?ア、アホなこと言うてんと、はよ稽古するで!」



ほんま、嫌になるわもう。
―――――アホシーナ!







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