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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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記憶-6

「なんか、色々と……ゴメンね?ミヤ」

 3日間動けなかったという事は、出血や排泄物の処理もしていてくれたというわけで……申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「お気になさらないで下さい。謝る気持ちがあるなら早く元気になって下さいね」

 ミヤはそう言うと口にお粥を突っ込んできた。

「ふぐっ……」

 優しくないなぁ、と軽く睨むとミヤはにっこり笑顔で返してきた。

トントン

 遠慮がちなノックの音にピンときて、入り口に向かったミヤに言う。

「ミヤ、ギルフォード兄様だったら入ってもらって」

「え?ですが……」

「大丈夫」

 渋々といった感じでミヤはドアへ行き、案の定来ていた兄を入れてくれた。
 もの凄くおどおどした兄がびくびくしながら入室したのを見て、思わず吹き出す。
 いつも毅然としているギルフォード兄様が子供のように見えて可笑しかった。

「笑えるようになったのなら……少し元気になったのかな?」

 ちょっと恥ずかしそうな顔をした兄が、花束を渡してくれる。

「はい。先日は取り乱してしまって申し訳ありませんでした」

 花束を受け取り、香りを堪能すると兄に笑顔を見せた。

「キアルリアが謝る事はないよ……」

 顔を曇らせた兄は椅子を少し離してから座った。

「……あの……ラインハルト兄様は……?」

 自分の問いかけに兄は驚いた表情を見せる。

「自分におきた事はちゃんと受け止めた方が後を引かないと思うので、出来れば包み隠さず教えてくださると助かります」

「……強いなあ、キアルリアは……」

「私が強いのはご存知でしょう?」

 でなければ護衛など務まらない。

「だな」

「はい」

 目を合わせて笑いあうと、兄は眉根を寄せて話だす。

 どうやらあの日、自分を助けてくれたのはギルフォード兄様だったらしい。
 ラインハルト兄様の部屋の前を通った時にお香の匂いに気づき、ノックをしたが返事がない。
 おかしいと判断してドアを蹴破ったらベットにキアルリアがいて驚いた、と話す兄の表情は険しかった。


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