投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

『縛られた女』
【SM 官能小説】

『縛られた女』の最初へ 『縛られた女』 7 『縛られた女』 9 『縛られた女』の最後へ

『縛られた女』-8

7.自殺の真相

「でもそれなのにどうして、ママは自殺してしまったんでしょうか?」
真由は、佐々木をじっと見つめながら尋ねた。

「それなんだが…、
彼女は、僕が申し出を断った時点で、自殺しようと決心していたと思うんだ」
「えっ、そうなんですか?」
真由は、驚いて訊き返した。

「そう、だけど、もし君が僕の子どもだったとしたら、君が思春期を卒業するころまでは、自殺は思いとどまらなければいけないと、考えたんだと思う」
「えっ、それはどうしてですか?」
「それはね、もしそうだったら、そのことを君にきちんと話さなければいけないけれど、多感な思春期にそんなことを告げたら君に耐えられないほどのショックを与えてしまうと、
考えたからだと思うよ」

「でも、でも、それならなぜ、ママは自殺しなければならなかったんですか?」
真由は、泣き顔になって、佐々木に尋ねた。
「うん、まだ思春期の君には、わかってもらえるかどうかわからないけれど、ここまで話してきたら、もうそれを説明しない訳にいかないね。
でももし、そんな話もうこれ以上聞きたくないと思ったら、そういってくれたらすぐにやめるよ。それでいいね?」
「はい」

「彼女は『Mである本当の私』と自分でいうように、まさに本物のMだった。
SとMとして付き合うようになって間もないころ彼女は、『あなたに会ったとき、あなたの目が来ているものを全部はぎ取った全裸の私を見ていて、あなたの手がその全裸の私を縛りたそうにしていると、私は感じたの。だから私は、あなたに縛られて責めてもらいたいと、思うようになったのよ』と、いっていたくらいだ。

だから僕は研究に研究を重ねた上で、いつもありったけの力を発揮して、彼女を縛って責めた。
彼女はそんな僕にすべてを委ね、どんなにきつい縛りでも責めでも、すべて受け入れた。
そしてそうすることで僕らはお互いに、「Mである本当の彼女」と「Sである本当の僕」のそれぞれの「居場所」となりあっていた。

しかし、別れなければならなくなったとき、彼女と僕とでは「本当の自分」への対応の仕方が違っていた。
彼女は別れた後も、「Mである本当の彼女」の「居場所」を欲しがった。
だから僕は彼女を縛って責め、それをカンバスに写し取って、別れた後の「Mである本当の彼女」のための「居場所」を作ってあげた。

でも僕は、別れた後には「Sである本当の僕」を、封印しようと思っていた。
僕は貧しくて、絵で食べていける自信もとてもないので、美術教師になろうと決めていた。
しかし思春期の少女たちと多く接することになる教職につくからには、「Sである本当の僕」を封印していなければ危険だと、感じていたんだ。
だから僕は、彼女と別れてからずっと、「Sである本当の僕」を封印し続け、「居場所」をどこにも求めようとはしなかった。

再会後、そんな僕に彼女は、また「Mである本当の彼女」の「居場所」になってくれと求めてきた。
十数年の歳月を経ていても、「Mである本当の彼女」はまったく昔と変わってはいなかった。
縛られて責められることを求める体臭のようなものが、着ている服など存在していないかのように身体全体から漂っていると、僕は感じた。


『縛られた女』の最初へ 『縛られた女』 7 『縛られた女』 9 『縛られた女』の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前