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無銭湯記スパゲッチュー
【ファンタジー その他小説】

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無銭湯記スパゲッチュー-7

第7話『仲間』

またこいつか! 今度はいったい、何を盗んだんだ。

「そいつを、こっちへ渡せ!」
 熊のような大男が、俺を怒鳴りつけ、そう言った。
 男は、俺の影に隠れて震えている、シーフの女の子を渡せとせがみ。
 当然、そんな男に掴まれば、酷い目に合わされるだろうと、彼女は俺に助けを求めて来たわけだ。
 正直言ってしまえば、非常に迷惑な話しでは有る。
 聞けばこの少女、男が商売にしている『焼きトウモロコシ』を一つ、盗んだらしい。
「助けて・・・」
 俺の背後から、呟く、少女の声が聞こえた。
 勿論子供とは言え、俺も泥棒に荷担する気はなかったのだが・・・ 又しても俺の口が勝手に。
「金なら俺が払うよ!」
 そんな気勢を吐いていた。
 男は、そんな俺の言葉を聞いてか、
「そんな奴、庇い立てしても、ろくな目に合わねえぞっ!」
 と、大声を張り上げもしたが。
 ふんっ! 聞き飽きたセリフだぜ。
 とは言え、こんな小さな子を大の大人が痛めつける姿など、見たくも無い。しかたなく俺は男に200G支払って、その
大男には立ち去ってもらう事にした。
「ありがとうお兄ちゃん! お礼にこれ、あげる!」
 健気にも少女は、懐に隠し持っていた黒い皮製の財布を俺に差し出し、そう言った。
 なんだこいつ! 金持ってるんじゃねーかっ!
 俺は顔を顰めながらも、財布の中身を見て、腰が抜けそうになる。中には大金が入っているではないか。
 すると少女が言った。
「どさくさにまぎれて、さっきのおじさんからこれ、頂いちゃったぁ!」
 ちゃったぁ! じゃねーだろ! こいつ!!
 気がつくと俺は少女の小さな手を引いて、郊外に向かう道を全力疾走していた。
 しばらくこの町には、戻れないだろう。

つづく


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