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異界幻想
【ファンタジー 官能小説】

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異界幻想ゼヴ・ラショルト-4

「ふっ……うう……!」
 降参を叫ぼうと、深花は素早く息を吸い込む。
「けっ!やらせるわけがねえだろが!」
 クゥエルダイドは深花の体に一撃を加えて、強制的に息を吐き出させる。
 嫌がる深花が降参しない理由が、これだった。
 腕力では圧倒的に劣るためクゥエルダイドを振り払う事はできず、これを終わらせるため降参を叫ぼうとする度に機会をことごとく潰されているのである。
「まぁだ楽しませてもらうぜぇ……こぉの可愛い唇は、いったいどんな味だろうなぁ?」
 尻にクゥエルダイドの腰が擦り付けられ、深花は怯えた目で男を見た。
 クゥエルダイドの股間は、天を衝くほど反り返っている。
「っく!」
 片方の乳房を鷲掴まれ、深花は苦痛の声を上げた。
「へへっ……柔らけぇなぁ。乳首はここかぁ?んん?」
「嫌ぁ……!」
 服の上から所在を探られ、深花は力なく首を振る。
「おとなしくしてりゃ、後でたんまり気持ちよくしてやるよ。たっぷりチ×ポぶち込んでヒィヒィ言わせてやるから……な!」
 な!の意味が分からなくて、深花は思わず抵抗を止めた。
 急にクゥエルダイドが硬直し、地面にくずおれる。
「どさくさに紛れて何してやがる、このクズ!!」
 背後に、怒りで顔を真っ赤に染めたジュリアスが立っていた。
「ラザッシュ、アパイア!てめえら一体部下にどういう教育をしてるんだ!?恥を知れ恥を!!」
 おそらくクゥエルダイドを殴り付けたと思われる利き手は、通常喉元にぶら下がっているはずの宝石を握り締めていた。
「間に合ったか」
 少し離れた所からティトーの声がしたため、深花はそちらへ振り向く。
 ティトーもまた宝石を握っており、目の前に立ち塞がる図体のでかい伍長に何かを言うと脇をすり抜けてこちらまでやって来た。
「遅れてすまない。おかしな真似に気づいて近寄ろうとしたら、伍長に邪魔されてね。仕方ないからお楽しみに耽ってる所に申し訳なかったが、ジュリアスを召喚させてもらった」
「あ……」
 安堵してへたりこみかけた深花の体を、ジュリアスが抱き留める。
「っつ……!」
 抱き留められた深花が、小さく声を漏らした。
 深花の体のあちこちに傷がついているのを見て、ジュリアスは顔を歪める。
 いくらすぐに回復してしまう体だろうと、むやみに傷つけていい理由にはなりえないのだ。
「さーて、軍曹……」
 ティトーが、ラザッシュを睨み据える。
「釈明の余地はない。今回の件は書面を通じて、正式に抗議させていただく。こんな恥知らずな真似をしでかしておいて、ただで済むと思うな」
「もちろんだ……アパイア、覚悟しておけ。クゥエルダイドの教育はお前に任せていたが、こんな野放図な事をしでかすとはな!」
 そう吐き捨てたラザッシュの顔は紅潮し、体は怒りで震えていた。
「はぁ……こんな事なら合同訓練なんて引き受けるんじゃなかったなぁ」
 ため息混じりに、ティトーはぼやいた。
「深花。とりあえず、医務局に行って手当を……」
 ジュリアスの声に、深花は首を振る。
「傷は平気。ただ……」
「ただ?」
「舐め回されたのが気持ち悪……」
 皆まで言わないうちに、ジュリアスは深花を立たせると気絶しているクゥエルダイドを思い切り蹴り飛ばした。
「何て事しやがるこのクソガキ!!」
「クソガキって……クゥエルダイドはいちおう、お前より年食ってるぞー」
 何となく毒気を抜かれたティトーは、肩をすくめる。
 自分の分までジュリアスが激怒しているので、ティトーはかえって冷静になってしまった。
 宝石を握ってフラウに知らせを送りながら、ティトーは言った。
「クゥエルダイドの拘束は軍曹、あんたに任せていいな?さ、俺達はザッフェレルんとこに行くぞ」




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