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異界幻想
【ファンタジー 官能小説】

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異界幻想ゼヴ・ラショルト-10

 誘拐から監禁・強姦までの具体的な一連の犯罪行為は自分に任せ、男の暴力に慣れた辺りで譲り受ければ改めて一から仕込む必要もない。
「しかし、あんたが俺にそのリスクを背負えるだけの旨味がある報酬を用意できるとは思えねぇな」
 一枚噛むと言っておきながら自分の手は何も汚さないのなら、クゥエルダイドにはアパイアの申し出を受ける理由がない。
「あるともさ」
 アパイアは、懐から小袋を取り出した。
「それは?」
 クゥエルダイドの質問に、アパイアはニヤリと笑う。
「リステュルティカの木の根。極上品だぞ」
「ほう!?あの女のために譲ってくれるってか?」
 二人は、邪悪な笑い声を漏らした。
「いいだろう。本当にそいつをくれるのなら、あんたの言う通りにしてやる」


 何となく、体の捌き方が分かってきたのだろうか。
 今日の訓練はいい出来だったと男達から褒められ、深花は上機嫌だった。
 食事を胃袋の中に片付け食器を返しに行くと、食器を受け取りに来たティレットが首をかしげる。
「今日はうちに来る?」
「こないだお邪魔しちゃったし、今日はうちにおいでよ」
「ん。分かった」
 勤務が終わった後、時間が合えば二人はお互いの部屋を訪問しては親交を深めていた。
 何しろ軍の施設内という、冗談や面白みなどカケラもない場所柄である。
 長々と二人でおしゃべりできて深花の身柄が安全な所、となるとかなり条件が絞られる。
 毒針を投げ付けてくる不審者がいる事はティレットも知っているので、無理して深花を外に連れ出そうとも思わない。
 ただし、違う方向の不審者の事は二人ともノーマークだった。
 今までの襲撃は全て外で起こっており、監視の目が薄くなっていたのもまずかった。
 今日は訓練の後三人へ個別の仕事が入り、監視が簡単に事情を説明されただけの一般兵でそういった事に注意を払う重要性に疎かったのもまずかった。
 要するに、全てがクゥエルダイドに有利に動いていたのである。


「う……」
 自分のうめき声で、深花は目を覚ました。
 頭を金槌で殴られているような痛みが、これは正常な睡眠からの目覚めでない事を彼女に知らせる。
「あ……」
 鼻腔に流れ込むお香らしき甘い匂いが、痛みを幾分か和らげてくれた。
 もぞもぞ動いてみると、体が毛布か何かの上に寝かされているらしい事が分かった。
「目が覚めたかぁ?」
 最近何度も聞いている野卑な声が、耳元で聞こえた。
「そんなにきついのは嗅がせてないから、そろそろ目が覚めてもおかしくないんだがなぁ」
 そのまま、耳の縁に柔らかい粘着質のものが触れる。
 ぴちゃぴちゃといやらしい音が聞こえ、深花は声を漏らすと僅かに体をくねらせた。
「いい反応だぁ。ますます楽しみになるじゃねえか」
「あ……ん……」
 乳房をまさぐられ、深花の声は艶めきを増す。
 深花がうっすら目を開けると……目の前には、クゥエルダイドの顔があった。
「きゃあっ!?」
 あまりの事に悲鳴を上げた深花は、自分が全裸で手足が自由に動かない事に気づく。
「ちょ、何こ……あ!」
 深花が状況を把握するより早く、クゥエルダイドは深花の唇を奪っていた。


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