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-angelax-
【ファンタジー その他小説】

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-angelax--2

 天使は彼女を幸せにしようと思った。しなければ、と思った。天使には難しい人物な事も分かっていたけれど、彼女を幸せにできるのは自分しかいないと思った。
 何処からか「無理だよ。」という声も聴こえた。けれどもうこの衝動は抑えられなかった。

 彼女は近づきながら天使の背後にある混沌を感じ取っていた。何をそんなに悲しんでいるのか、何がそんなに辛いのか。興味が沸いた。何故そんな事を思い感じてしまったのか、自分でも分からなかったし、分かる必要も無かった。何故か、癒したいと思った。

 そして、一天使と一人は出逢った。
 天使の、彼女に幸せを与えたいという想いと、彼女の、天使を癒したいという想い。
 その二つの想いが、二つの手を取った瞬間シンクロした。天使と人間。決して、その存在として交わる事の無い、二つが交じり合った。奇跡?そんな簡単な言葉じゃ表せられない。そんな特殊な空気が二人を覆った。
 直後、天使は彼女を導く。ある場所へ。
 直後、彼女は天使に導かれる。その場所へ。
 天使が導いてくれた場所は、とてもキレイだった。それ以上も、それ以下も無い。彼女はなかなか言葉が出なかった。けれど、かろうじて聴く事が出来る位の小さな声で。
「キレイ…」
と一言発した。。
 天使は、その場所に彼女を連れて行きながら、彼女の事を徐々に悟っていた。彼女が、どんな環境で育って生活し、そして、どんな想いであの公園にいたのかも…そしてなぜ天使を見つける事が出来たのかも。そして、その場所に着く頃には全て分かってしまっていた。
 天使が彼女を連れて行った場所…それは天使が生活する場所、つまり「天国」の手前。天使達の間では一番キレイだと言われている場所だった。
 彼女が一言「キレイ」と言ってくれた。
 天使は安心した。
 そこで天使は、彼女にたくさんの「白」を与えた。それは彼女をときめかせた。彼女はその与えられた物について何も天使に問わなかった。問う必要も無かったし、考える必要も無かった、ただ思うままに「白」を身にまとい、思うままに抱き、彼女は白に染まった。
 その光景はとてもキレイで、彼女はとても美しくなっていた。天使は、嬉しくなった。初めてこんなに自分の与えた幸せを感じてくれる人に出逢った事が天使にとっても幸せだった。
 彼女は、当然の如くと言うより、必然的に彼女は幸福な気持ちに浸っていた。今まで生きていた中でこんな気分を感じた事が無かった。こんなにも素直に長い時間笑っているのは初めてだった。
 その天国に一番近い場所を思う存分楽しんだ後、彼女は、天使に尋ねた。
「何故、あたしをこの場所に連れて来たの?」
天使は、答えなかった。その代わりに天使は、彼女を新たな場所に連れて行った。そこには、大きな扉があり、天使は彼女に言った。
 「君が、本当に行く場所はこの先なんだ。」
 彼女は、最初、よく理由が分からなかった。しかし、天使に言われるままにその扉の前に立ち、扉に触れた瞬間、彼女は全てを理解した。何故、彼女に天使
が見えたのかも、何故、「白」を与えられたのかも…
「ありがとう」
 彼女はぽつりと一言天使にそう言い残し、扉に手をかけた。そして、彼女は、扉の向こうに消えて行った。
 天使は、彼女が消えた後、休息に入った。天使は眠りながら、彼女の夢を見た、夢の中の彼女は、幼い頃から、家族に愛され、幸せな生活を送り自らも、家庭を築き幸福な時間の中で一生を終えていた。
 「来世はきっと絶対そうなるよ」
 天使は確信していた。そう成らなければならない運命に彼女はいるのだから…


 そして天使は、再び仕事に出掛ける。以前より増えた力を抱いて。

 -END-


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