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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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双星の魔導師-8

「ほんっと、馬鹿だねぇ〜」

 翌日、話を聞いたエンは呆れた顔で言い放つ。
 エンは学校に通っている生徒で、アースの友人だ。

「……うっせぇ……」

 馬鹿なのはわかっている。

「言えば良かったのに〜」

「何をだよ?」

「好きです、とか?」

「だから、そんなんじゃねぇんだって……」

「あのね〜嘘ついてまで童貞捧げてる時点で好きって言ってるようなもんだって〜」

 実は昨日のリンとのセックスが初体験。
 嘘だとバレないように余裕っぽく振る舞うのはかなり大変だった。

「んあ〜?…そうかぁ?」

 アースとしてはただ、自分を息子としてではなく、ましてや魔力提供者などでもなく、1人の男として見て欲しいと思うだけだ。
 リンを独占したいだとか、自分だけを見て欲しいなどとは思わない。
 これは恋愛感情じゃあねぇだろ?とアースは言う。

「ん〜確かにちょっと違うねぇ……」

 エンも首を捻って考える。

(……ふぅん……)

 中庭で話してる2人を学長室から覗き見ていたベルリアは、リンが中で寝ているのを良いことに聴覚を魔法で強化して話の内容をばっちり盗み聞く。

(…確かに恋愛感情とは違うかな…)

 しいて言うなら反抗期、なのだろう。
 親に認めて欲しい気持ちが、特殊な環境と関係のせいで変なふうに出てしまったのかな、とベルリアは分析する。

(まあ…でも、恋というのも、あながち違うとも言い切れないかなあ…)

 憧れに近いものだろうが、少しでもそういう感情がなければあんなに優しくリンを抱く事は出来ないだろうな……とベルリアは昨日の事を思い出し……リンが誰かと寝る時は意識を閉じようと心に決めた。


 それから1ヶ月後、無事試験にパスしたアースは騎士団に入団する。
 月に2回ある連休には約束通り必ず帰ってきて、魔力提供に協力するためにリンと体を重ねた。

「……回を増すごとに腕が上がってるわ……」

 横で寝ているアースを見ながら呟いたリンの言葉に

(騎士団でなにを修得してるんだ…)

 と、ベルリアはこっそりと突っ込む。

 しかし、アースが20歳になり騎士団の隊長に任命されると、忙しくなったのか帰って来なくなった。
 ひと月もたつと、イライラの限界を超えたリンは王城にある宿舎へと乗り込む。
 こうなったリンを止める事はベルリアにも出来ない。

(……ご愁傷様……)

 これから何が起こるか安易に想像のついたベルリアは、悪いのは約束を違えたアースだ、と意識を閉じた。



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