投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

ゼビア・ズ・ストーリーの最初へ ゼビア・ズ・ストーリー 5 ゼビア・ズ・ストーリー 7 ゼビア・ズ・ストーリーの最後へ

黒の魔導師-6

(声は好みなんだがな……)

 こんな状況でもどうせなら女性と行動したいなあ、と少しガッカリする。

 燃え落ちて来る木を凪ぎ払いながら進むと、火元らしい場所を発見した。
 2人は、茂みからコッソリと火元を覗く。

 そこには、人の3倍はあるであろう大きさの、火蜥蜴が大暴れしていた。
 よくよく見てみると、どうやら魔法陣の罠にかかったらしい……が、罠に対して獲物がでかすぎだ。

 火蜥蜴の皮や肉は高値で取引されるので、こういった狩りはよく行われているが、火蜥蜴は貴重種なので狩りは禁止されている。
 つまり、密猟。
 火蜥蜴の周りには、真っ黒に焼け焦げた物体が3つほど転がっていた。
 罠を仕掛けた密猟者達だろうが……まあ、自業自得だろう。

「ふむ……」

 アースは魔法陣に目を向けたまま、手を顎に当てて考え込む。

「どうするんだ?」

 キャラは黒い物体から目をそらしてアースに聞く。

「ん?あぁ……火蜥蜴を殺して売っちまえば金になるなぁって……冗談だ……」

 魔法陣を見たままのアースは、キャラの冷たい視線を感じて手をヒラヒラさせる。

「魔法陣を解除しようと思うが……複数絡み合ってるみたいだな……」

 仕掛けていた魔法陣では捕らえきれなかったので、魔法陣を追加したのだろう。
 魔法陣が1つだけなら解除は簡単だが、複数が絡み合っているとなると解除は複雑になってくるし、集中力も必要になってくる。

(今の魔力じゃ足りねぇな…)

 嫌がらずにもうちょっと返してもらっときゃ良かった、と後悔する。
 さて、どうしようか、と考えたアースは1つだけ手っ取り早い方法を思いつくが、気が進まない。
 しばし、思案した後、意を決してキャラに目を向ける。

「えっと…キャラ?お前、魔力持ってるか?」

 魔力を持ってる人間は少ないが、精霊が見えるということは持ってる可能性が高い。

「持ってるけど」

 キャラの答えにため息をつきつつ、アースは聞く。

「俺に魔力をわけてくれる気はあるか?」

 本当に気は進まないのだが…。

「いいけど、どうやって?」

 聞かれてアースは一瞬黙る。

「……気に入らんと思うが……口移しだ…」

「はいぃ!?」

 当然の反応にアースは苦笑いする。

(俺だって嫌だもんなぁ…)

 何が悲しくて1日に2回も男とキスせにゃいかんのだ、とアースは思い、この提案を却下する。


ゼビア・ズ・ストーリーの最初へ ゼビア・ズ・ストーリー 5 ゼビア・ズ・ストーリー 7 ゼビア・ズ・ストーリーの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前