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淡恋
【同性愛♂ 官能小説】

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淡恋(前編)-8

ああっ…うっ…と、僕はその冷たい指の痺れるような擽りに小さな嗚咽を洩らし、からだをのけ
反る。女は、内腿に卑猥に指を這わせ、両腿の付け根から垂れ袋を撫であげると、僕はその指の
悩ましい快感に、小刻みにからだを震わせた。

そして、かすか悶えとともに、僕を吊った鎖が不気味な軋み音をたてる。客席からは、くすくす
と小さな笑い声が聞こえてくる。


「…どう、感じるかしら…気持ちいいでしょう…」

女は僕の正面から、わずかに勃起し始めたペニスと垂れ袋に、巧みに指を這わせ始めた。
まるで果実の薄い桃色の皮をむくように陰嚢を撫で上げ、とろりとした睾丸を淫靡にしごき、
ペニスの幹の裏側から雁首の溝にかけて、微妙な刺激を与えながら弄くる。

性器を擽られる甘美な快感が、僕の腰骨からからだの芯に微妙な肉欲を生み出し、ペニスは少し
ずつ堅さを増し、亀頭をもたげ始めていた。ペニスの内側は、蝕まれるような淫猥な熱を帯び、
勃起したペニスの先端が、透明の液でぬらぬらと湿り始めていた。


「…優しくされて、ご満足のようね…こんなにおチンチンを堅くして…」

女は冷徹な笑みを浮かべ、長い爪をした指で、僕のペニスの鈴口に爪を立てる。尿道の奥を針
で突かれようなその鋭い痛みに、僕の背筋に電流のような悪寒が走った。

…あっ…ああっ…

その痛みの快感に眉根を寄せた僕は、白い咽喉をのけぞらせながら、甘い嗚咽を洩らした。


「カズオさんって、わたしの好みのからだをしているわ…虐め甲斐があるってからだだわ…」

女は僕のあごをしゃくりあげると、ゆっくりと頬を撫であげた。そして、床に置かれた黒い一本
鞭をゆっくりと手に取る。

「痛くされるのが好きでしょう…わたしって、一本鞭の使い方は上手だから、楽しませてあげる
わね…いい声で啼くのよ…」

そう言いながら女は、僕の背後に立つ。そして、床に鞭を打ちつけた。重々しい鞭の音が部屋に
鳴り響く。

ふと、マサユキさんのうつむいた姿が眼に止まったとき、僕は、こんな姿をマサユキさんに見ら
れることが苦痛でありながら、なぜか僕をもっと見つめて欲しいと思った。


女はゆっくり鞭をふりあげる…。


僕の背後から、長い一本鞭が、ヒューと澱んだ空気を裂き、すっと伸びてくる。

ビシッー… 

あうっー

襲いかかる鞭の痛みに、唇から迸るように洩れる悲鳴をあげながら僕は大きくのけ反り、吊られ
たからだが海老のようにしなる。

ビシッー、ビシッー

鞭が重厚な音をたて、僕の背中に喰い込み、肌に蛇が噛みついたような鋭い痛みが、背筋から
からだ全体に籠もる。部屋に響きわたった鞭の重い音とともに、一瞬、部屋の客たちが息を呑み、
ピーンと張りつめた緊張した空気が部屋に漂う。



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