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おなり神
【兄妹相姦 官能小説】

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おなり神-1

 おなり神(おなりがみ)とは、妹(おなり/をなり/うない)が兄(えけり)を霊的に守護すると考える沖縄諸島に広がる信仰である。
 おなり神信仰において、兄と妹の関係性は別格とされる。既婚者の男性を霊的に守るのも伴侶である妻ではなく妹と考えられており、近世までは既婚者に大事があった場合でも、その妹が呼び出されて祈念を行うということがよくあったという。このことは、兄と妹の関係性が、夫と妻の関係性よりも強固であり、尊重されることを意味している。
 そもそも厳密には、琉球方言の「おなり」「えけり」は本土方言の「妹」「兄」というそのままの意味ではない。「兄から見た妹」を「おなり」、「妹から見た兄」を「えけり」と呼ぶ。すなわち、「おなり」「えけり」は兄と妹のみで完結した関係性なのである。おなりとえけりの想定する宇宙には、男女は兄と妹しか存在しない。
 沖縄の天地開闢伝説では、たいてい兄妹がすべての始祖になる。人間が神の逆鱗に触れて洪水や火山噴火などで滅亡した後、再び子孫を殖やしていくのは、ほとんどの場合、兄妹(まれに姉弟)である。そこに原罪意識を見いだす人もいるが、血の繋がっている実の兄妹が、さらに異性として愛し合うという結びつきの強さが重要なのである。愛し合う兄妹から生まれた子孫だからこそ、人類が殖え栄えていけるのだ。

***

「ねぇ、お兄ちゃんって、小さいとき“おちくん”と呼ばれてたよね?」
 いきなり、真知子が訊いてきた。
「あ…あぁ、そうだけど、なんで今さら?」
 私が“おちくん”と呼ばれていたのは子どもの頃…もう何十年も昔の話である。
なぜ、妹はそんなことを持ち出すんだろう。…訝(いぶか)りながらも、実は、こちらには思い当たるフシがあるのでドギマギする。
ただの偶然なのか…。

午後の早い時間、真知子が珍しく一人で訪ねて来た。
同じ市内に住んでいるので、訪問自体はそう珍しいことではない。だが、いつもは家族連れで来るのだ。こちらも、たまたま皆出かけていて、家には他に誰もいない。
「お兄ちゃん、ひとり?」
「あぁ、犬の散歩を頼まれているし、皆、帰って来るのは早くても夕方過ぎじゃないかな…」
「ふ〜ん、上がっていい?」
「ん?いいよ、もちろん。…今日は何かあったっけ?」
「うぅん、とくに…」
 上がりしなに真知子と目が合った。なぜか心臓の鼓動が高まる。
「…それにしても、よく揺れたなぁ。大丈夫だったか?」
「うん、たくさん棚の上から落っこちたけど、何も壊れたものはなかったから…。お兄ぃの方は?」
「事務所で仕事中だったんだけど、ビルが大きく揺れて怖かったなぁ。揺れてる時間も長かったしね…」
大地震があった翌週なので、やはりさしあたっての話題はそれだった。
真知子を居間に座らせて、とりあえずお茶の用意をするために台所へ行く。
 ヤカンでお湯を沸かしていると、しばらくして真知子も台所にやってきた。
「あ、ちょっと待ってな。すぐにお茶を出すから…」
「うん、ありがとう。…今日はね、お兄ぃに用事があるの」
「何?…何かの保証人とか?」
「うぅん、違うの…」その後に冒頭の質問があったのだ。
 (“おちくん”って、まさか…)
動揺を悟られないように、ガスの火を調整するふりをする。


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