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ZERO
【ファンタジー その他小説】

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ZERO-8

☆☆☆☆☆☆☆☆☆
…まずい。食事を作ってもらって失礼だが、本当にまずい。
 彼女が言うにはクリームシチューらしいのだが、色がビーフシチューのように茶色い。
「…ち、ちょっと焦げ臭くなっちゃったべか?」
 焦げ臭いだけじゃないよ都さん…。
「これ醤油入ってません?」
「煮物の残りを使えば早くできると思って…。汁気はちゃんと切ったのにな…」
 轟沈……。おじいさんの寿命はこれで縮まったのかもしれない。明日は俺が作らないと帰る前に死んでしまう…。
 文字どうり四苦八苦して食事を摂ったのだが、寝る時刻になってまたも難題が立ちはだかった。
「…俺は床で寝ます」
「だめよ!お客さんにそんな事したらおじいちゃんに怒られちゃうべさ…」
 先に断っておくが、決して寝室が一つしか無いなんてベタな話ではない。彼女の部屋とは別におじいさんが使っていた部屋がある。
 ではなぜか…。端的に言うと、おじいさんのベッドが崩壊したのである。
 最初から話そう。
 都は一年近く使ってないベッドを掃除してシーツを敷こうとしたのである。が、つまずいてベッドに倒れ込んだのだ。
 一年も放っておかれたベッドの怨念かどうかは知らないが、都の重みでベッドの脚が折れ、スプリングが壊れて飛び出したのだ。
 よっておじいさんのベッドが使えない俺がマットレスを敷いた床に寝ると言い、ベッドを壊した都も
「責任は自分にある!」
 と言って譲らないのだ。
「私が床に寝るからユウタは私のベッド使って」
「いや…、雄飛ですってば」
 都のベッドを使えと言われても…。
「じゃあ一緒に寝る?」
「へっ?あっ…いや、まさか……」
「冗談に決まってるべさ。とにかく私が床に寝るから」
「……はい」
 泣けてくるぐらい押しの弱い俺…。
 結局都のベッドで寝る事になってしまった……。


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