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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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ポートセルミ編 その一 アルマ-2

**――**

「嘘、ありえないわ……」
 女のハートのフラッシュに男はキングと八のフルハス。ストレートフラッシュならまだしも、ありふれた役にそれほど驚愕する必要はない。問題は、女の記憶違いがなければ男の手が成り立たないということ。なぜなら、少し前に捨てたはずのカードが再び男の手札にあるのだから。
 このあからさまなイカサマにも関わらずゲームが進行するのは、ディーラー、ギャラリーの全てが女の敵だから。それに加えて彼女自身、お酒を飲んでいるせいか記憶に自信がない。
 普段ならそんなへまをするはずもないのだが、苛立ちを抱えていたせいか、小事が見えていなかった。
「ほら、さっさと脱ぎな。それともドロップするかい? 今なら俺の股潜るだけで赦してやるぜ?」
「くっ!」
 あからさまな挑発に、女は気丈にもガウンを脱ぐ。
 背中、胸元ともに露出の激しい桃色のドレス姿の女に、観客から歓喜の声が上がる。
 これが社交界の幕間なら彼女も誇らしく胸を張るのだろうが、ここは平民の娯楽の場所。ステージの上で踊るショーガールを見つめる目線で褒められても嬉しくはない。
「さ、続きよ!」
「へへ、そうこなくっちゃ!」
 勝気な女はディーラーにカードを要求し、男も咥え煙草をくゆらせる。
 だが、勝負の行方は最初から決まっているのだ。運任せの一縷の逆転などあるはずもなく、女に配られるのはフラッシュを狙える程度。対し男は、このゲーム三度目のジョーカー……。
「ズルはだめです。ゲームは正々堂々やらないと……」
 不意に伸びた手が男の腕ごとカードを場に伏せさせる。
「ちょっと! なんでジョーカーがあるのよ? これで三枚目よ!?」
 飲酒の影響があるとはいえ、ミニデーモンの描かれたカードを見間違うはずもなく、女は声を上げる。
「な、てめえ何者だ!」
 けして細くない腕を逆手とはいえねじ伏せる青年に、男は油汗まじりに叫ぶ。
「まあいいじゃないですか。それより、ちゃんとルールを守って楽しく遊びましょう」
 賭けの対象を考えれば遊びの範疇を越えているのだが、青年は諭すようにゆっくりという。
「この野郎! おらっ!」
 取り巻きの男が手近にあった酒瓶を片手に青年に振りかぶる。しかし、その気配を察知した青年はそれをかわして、リーダー格の男と入れ替わる。
 ガシャンと大きな音を立てて酒浸しになる男と、血気立つ取り巻き達。
 いきなり始まった乱闘騒ぎに、モンスター格闘場の観客達も集まりだす。
「このやろう!」
 青年一人を追い掛け回す男達。けれど、すんでのところで足元を乱し、同士討ちを繰り返す。青年は汗をかいているが、軽いジョギングの後のように晴れやかな顔つき。対し、リーダー格の男は身体中に回ったアルコールのせいで全身真っ赤で息も絶え絶え。
 女を質に取ろうとした男は、裾を持った彼女のスタイリッシュな膝で幸せなる凶悪な一撃を受けて昏倒済み。
「もう、その辺にしてはどうでしょうか?」
 そんな乱闘騒ぎにつかつかと歩み寄る者が一人。タキシード姿で白髪、モノクルと白手袋の一風変わった老人だった。
「げ、フレッド……」
 女は舌打ちしながら青年の影に隠れる。
「まったくお嬢様も困った人だ。あれほど夜遊びは控えるように申しましたのに……」
「あ、あの?」
 状況が読めない青年は背後に隠れる女の人にきょろきょろするが、彼女は何とか彼を盾にしようと必死になる。どうやら彼女の恐れの対象では、この老人のほうが荒くれ用心棒達より上らしい。
「もしお嬢様に何かありましたら、私は旦那様になんて申し上げれば……」
 老人は彼女が脱ぎ捨てたガウンを拾い、埃を掃う。
「ふむ、君は確かリョカ君だね?」
 老人の言葉にギャラリーからも幾人かが声を上げる。


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