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友の名
【ファンタジー その他小説】

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友の名-7

 リグの起こした騒動から丁度一週間が経った。
 サムライは修理から帰ってきた。
 元の通り。
 だが、ケインは格納庫で佇むサムライを溜め息をもって見つめている。
 確かに元の通りではある。だけど…
「ケイン、ちゃん」
 ぼんやりするケインに声を掛けたものがいた。リグだ。
「リグ…」
 リグは済まなさそうに見つめている。彼女の顔を見てケインは無理に笑顔を作った。
「どうした?」
「ケインちゃん…ごめんね?」
「どうしてお前が謝ることがある?」
「ボクが余計なことをしたから…」
 泣きそうな顔をしているリグの頭にそっと手を置いたケインは軽くくしゃくしゃと撫でた。
「余計なことなんかないさ。むしろ感謝しているくらいだ」
 心の底からそう思っている。
 それに、リグが寝食を惜しんでAIの復旧に努めていたことも彼は知っている。
 ありがとう、そう言うとケインは歩き出し、サムライのコクピットに乗り込んだ。
「ケインちゃん…」
 一人になったところでケインと入れ違いにセバスが格納庫にやってきた。
 リグを見つけた彼は急ぎ足で近寄ってくる。
「おお、リグ様」
「ん?どうしたの、セバスちゃん〜」
 セバスはしきりに首を捻っていた。
「いや、どうしても腑に落ちないことがあるのですよ」
「んに?何か気になることがあるの?」
「ええ。サムライの疵を見る限り、どう考えても撃たれる前に身を投げ出したようにしか思えんのです」
 その言葉に、リグはようやく理解した。
 メモリーの奥底に残されていたメッセージの主が誰だったのかを。
 復旧したときに気になっていたので消さずにおいたのだ。
「あっ、り、リグ様?!どちらへ?」
「ありりんっ、セバスちゃん!」
 お礼もそこそこに、そのことを一刻も早く伝えたいリグはコクピットのケイン目指し駆け出していた。

『かりそめの心が無くとも、私はこれからも共に戦うことを誓う。
そして、私の誇り高き名を、いつまでも忘れないでいて欲しい。
                神威より、友へ』Fin


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