投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

ドラゴンクエスト5 天空の花嫁の最初へ ドラゴンクエスト5 天空の花嫁 152 ドラゴンクエスト5 天空の花嫁 154 ドラゴンクエスト5 天空の花嫁の最後へ

ラインハット編 その七-1

ラインハット編 その七

 この世界に広く浸透しているのは、聖ルビス教会。精霊ルビスの慈愛を説くのが主な目的だ。
 このルビス教会が支持されるのは、信仰が故ではない。ルビス教会の神父になるためには医療施術、魔法の習得があり、ルビスの慈愛のもと、貧しいものにも、治療を施すという街医者としての需要があった。
 ラインハット地方やグランバニアでは国教として制定しており、商業都市サラボナ、砂漠の国家テルパドールでも、奨励こそしないものの、禁止もしていない。
 およそどの国、街にも小さいながら一つはある施設であった。
 そんな聖ルビス教会とは別に、マイノリティが支持する宗教がある。
 海岸沿いに位置する街ならば、海獣グラコスの怒りを恐れ敬い、サラボナ南部の死の火山付近では炎の精霊グレンを称えている。
 そのほとんどは生活に密接するが故で、信仰の対象というより自然との付き合いかたを戒める意味が強い。
 そんな中、異質なのが、光の教団だ。
 教祖イブールと共に大地に眠る神を信仰するものは、死後も光の国に誘われ、永遠の楽園にたどり着くという。
 最近の魔物の活発化や自然災害の多発、日々噂される邪悪な存在の出現。そういった末世感からか、その教えにすがるものが増え始めた。

 マリア・リエルはポートセルミで両親と兄の四人暮らしをしていた。
 両親は共に熱心なルビス教会員で、日曜礼拝を欠かすことはなく、マリアもまたそれに殉じていた。
 そんなある日のことだった。マリアの母、メアリ・リエルが原因不明の病に倒れたのだ。
 父、カッシュ・リエルはルビス教会へ訪れ、彼女を救うように願った。
 しかし、治療の甲斐もなく悪化の一途を辿るメアリ。いつしか神父は彼女の死後の救済をもとめて祈るよう、家族を諭すようになった。
 カッシュも一時はメアリの死を受け入れようとしたが、昼夜とわず苦しみもがく妻の姿と、これまでの信仰の日々の乖離を感じ始めていた。
 ルビスは何もしてくれない。ルビスはルビスを信ずる者をたすくこともなく、死をもたらすだけの、似非神にすぎない。
 日々消費するアルコールがハーフボトルを越えた頃から、彼はルビスを憎むようになった。
 そんなある日、黒いローブ姿の男がやってきた。男は妻の容態を見せろと言ってきた。だが、ローブの切れ間から見える土気色の皮膚を見るに、むしろ男のほうが妻よりも重病なのではと思えるほどだった。
 普段ならそんな胡散臭い話に乗るはずもないカッシュだが、教会も見放した妻がこれ以上悪くなることもないと、通した。
 男は妻の額に爪を立てると、低く微かに聞き取れるようなぼそぼそとした声で呪文を唱える。すると、いままで苦悶に満ちていた妻の表情がなくなり、粗い呼吸がすっと静かになる。
 男は爪を離すと、どっと疲れた様子で額の汗を拭う。
 ――簡単な施術は終った。だが、これは一時的に過ぎない。お前の妻に救いを求めたいのならば、この本にある鋼塵の説を読め。
 『イブールの本』と書かれた分厚い書を渡す男に、カッシュはただただ平伏し、感謝をしていた。
 その日からカッシュは妻に鋼塵の説を読み聞かせた。男がしていたように妻の額に手を当て、読み聞かせる。妻の寝息は穏やかになり、逆に自分はとてつもなく精神を消費する。
 その疲労感が、妻を癒していると男に感じさせていた……。


ドラゴンクエスト5 天空の花嫁の最初へ ドラゴンクエスト5 天空の花嫁 152 ドラゴンクエスト5 天空の花嫁 154 ドラゴンクエスト5 天空の花嫁の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前