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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#03  研修旅行――二日目-19

――そういえば、コイツは『七福神巡りにおいて、江ノ島には来る必要性がない』と言っていた。それでも、旅程に組み込んだのは岐島だ。

その後、自分で名産品目当てだ、とも言っていたが、しかし、あれは本心だったのだろうか?

そりゃ、この食欲魔人の言だ、まるっきりウソってわけでもなかろうが、けれども、逆にそれだったら鎌倉でも美味いものはたくさんある。

わざわざ、江ノ島まで出張ることもないのだ。

と、なると、やっぱり…………。



「な、なあ、きじ――」

「あっ。いないと思ったら、岐島くんと一緒だったんですか」

「っ……」



私が、自信のある推理を披露しようと口を開きかけたときだ、背後から声がかかった。

この間の悪さ、そして、後頭部の下の方がムズつく感じは、



「林田かよ……」

「あの?そのゲンナリした様子はなんですか?」

「いや、ん、まあな……」

「もしかして、お邪魔でした?」

「それは断じて違う!」



私は、半ば殴りかからんばかりに食ってかかると、林田は目を丸くし、そして、直後に破顔させた。

いぶかしむ私の前で、くすくすと笑う林田。



「ふふっ……。すみません、違うんですよ?その、意外でした」

「ああっ?」

「佐倉さん、もっと気難しいんだと思っていたんですよ、私」

「気難しい?」

「はい、それはもう」



そこで、また林田が笑った。

その度に背中へ垂れる、下のほうで纏められたツインテールがフワリフワリと揺れる。

吊り目の、とっつきにくい印象を払拭するように林田は柔らかい表情を浮かべた。




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