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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#03  研修旅行――二日目-15

「どうだい?本当は江ノ島の弁財天は鶴岡八幡宮と被っているから参る必要はないんだろうけど、ホラ――」



江ノ島、というキーワードで私は大体の事情を察せられていた。

だから、「ホラ」だけで、岐島の言いたいことも把握する。



「生シラスか?または、タコせんべい?」

「あと、サザエのつぼ焼きなんかもいいね。ビール――はダメだから、ラムネでも片手にさ」



ビール、のクダリで岐島は林田を一瞥した。

きっと、私と二人だった場合は臆面もなく「ビールをググッと――」くらいは言っていたことだろう。

私は呆れつつも、頷いてやった。



「ん、まあ……それくらいなら許容範囲なんじゃねえの?」

「そうかい。なかなか、どうして、きみは存外、真面目だね」

「うっせっ」



真顔で――といっても、この男はそもそも表情が乏しいが――、そんな一般とは対称なことを言われると、正直、照れた。

私は机の下で、岐島の足を軽く蹴る。

軽くだ。んまあ、コイツの場合、私の本気の蹴りだってどれほどの効果が期待できるかはわからないが、岐島はなんのリアクションも起こさなかった。

よって、何ごともなかったように班会議は続く。



「私も、それでいいですよ。柚子は?」

「うん、構わない。江ノ島も、行ってみたいし……」

「なら決定ですね?じゃあ、後で竹下先生には私から報告しておきますので――」



相原の、岐島へのフォローじみた賛同は気にならないでもなかったが、ようやく、今日一日の予定が決まった。

あとは、この濃ゆい面子でも平穏無事に帰還できることを願うだけである。






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