投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

やさぐれ娘は屋上で笑うの最初へ やさぐれ娘は屋上で笑う 51 やさぐれ娘は屋上で笑う 53 やさぐれ娘は屋上で笑うの最後へ

#03  研修旅行――二日目-13

「石川町で降りて、どうだい?ちゅう――」

「なんで鎌倉の研修旅行で、中華街って案を思い浮かぶんだよ!」



ツッコムだけだ。鎌倉より北、と言ったあたりで、私はすでに予想していたシークエンスである。

不満そうに唇を尖らせる岐島。



「……失礼だな。まだ、ちゅう、しか言っていない」

「ほおー?じゃあ、なんだ?」

「…………ち、中高大一貫のお嬢様校や山手教会を遠くに眺めつつ、港の見える丘公園へ。行ったついでに小腹も空くころだろうし、近場の食事できる場所――」

「といえば、横浜中華街が近くにあるな。たまたま、じゃなく!」

「……じゃあ、本牧ふ頭を泣きながら歩いて、」

「それも、二番でチャイナタウンに行っちゃうだろ!つーか、難易度高いボケをするな!よく突っ込めたな、私!」

「くっ――」

「……オマエ、普段はキレるけど、飯が関わると、こと幼児退行するよな?」

「一生物の基本的な欲求だからね」

「岐島のは常軌を逸していると思うぞ、私は」

「ふむ……」



岐島が、むっつりと黙り込んだ。

表情から、その考慮の要因を知ることはできなかったが、まあ、今日の旅程を真面目に考え出したのだろう。

――中華街に行きたがったのも、ヤツにとっては真面目な意見だったんだろうけどよ。

そこで、ふ、と岐島が顔を上げた。



「なら、北鎌倉駅に行こうか」

「えっ、と……円覚寺?明月院――のアジサイは、さすがに遅いですし……」



林田が疑問符を浮かべつつも、無難な合いの手を入れた。

ふるふると首を左右に振った岐島。




やさぐれ娘は屋上で笑うの最初へ やさぐれ娘は屋上で笑う 51 やさぐれ娘は屋上で笑う 53 やさぐれ娘は屋上で笑うの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前