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みだ★ゆめ
【ファンタジー 官能小説】

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3・ユメのなかでチュウ-2

『そうだよリリス、ちょっと摂り過ぎじゃないか。最近ぷくぷくしてきてるよ』
『太ってない!私は成長期なの!』

リリスとラウムの口喧嘩を背にして、ワイシャツの袖に手を通した。
あいつが早起きになってから朝が騒々しくなったな。

「おい、うるさいぞお前ら。こないだ隣から怒られただろ。すぐ箱に隠れやがって、俺が不審に思われたんだぞ」
『だってラウムが悪口言うから!』
『暴れるな、二の腕ぷるぷるしてるぞ』

だからやめろと言ってるのに、分からない奴だな。

「じゃあもう行くけど、大人しくしてろよ」
『私も一緒に行きたい。外に行きたいよぉ』
「だから、平日は無理だって言ってんだろ?休みまでちゃんと待てよ」

リリスは、サキュバスらしくなった以外にも前より変化したところがある。
外に出たがり、色々な物に興味を示す様になったのだ。
こないだ休みの日に連れて出たらとても喜んでくれた。
そこまでは良かったのだが、道端の犬に話し掛けたり、子供達が遊んでいる中に混ざろうとしたり、気苦労の絶えない1日で物凄く疲れた。
恐らく、あっちの世界でも似た様な感じでラウムは大変だったんだろうな。

『連れてってあげてくれる?隆一』
「駄目だよ、仕事があるんだぞ。連れて行ける訳無いだろ」
『大丈夫、おれがちゃんと見張ってるよ。箱の中にいてもちゃんと外の様子は分かるからね』
『いいのラウム?!やったあ、またお出かけできるんだ!』
「こいつが大人しくしてるのか?勘弁してくれ」
『ちょっと試してみたい事があるんだ・・・』

ラウムは箱を持たせて、リリスと共に入ってしまった。
有無を言わせるつもりは無いって事か。まったく・・・悪魔ってのは人間の都合を考えてくれないんだな。

「何をしたいんだよ」
『リリスもそろそろサキュバスが板に付いてきたから、次のステップに進んで・・・』
『早く行こうよ隆一!満員電車に乗りたい!』
「うるさい、ラウムと話してるんだ。静かにしてろ」
『・・・ごめん、帰りの時にまた話すから』

ラウムがやりたい事は外じゃないと出来ないのだろうか。
まあ、いいか。どうせリリスが話の邪魔するだろうし、ラウムが言うとおり帰る時に聞いておこう。


−帰りの電車に乗り込み、すぐ側の座席に座った。
今日もパソコンと睨めっこして首や肩ががちがちに凝り固まって、少し下を向こうとしただけで激しい痛みが伴う。

『お疲れ様、隆一』

ラウムが箱から頭を出して労ってくれた。最初は不気味に見えたんだが、こいつは優しい。
リリスはいい相棒を持ったと思う。どうせ、その有り難みも分かっちゃいないだろうけど。

『早く帰ろうよ隆一、お腹すいたー』
「ば、馬鹿、お前は顔を出すなって!」

箱から出て通常の大きさに戻ったリリスの頭が飛び出てきた。
すかさず押し込んで戻し、辺りを見回す。
幸いにも殆ど人の気配は無く、向かいに座っていたカップルもいちゃついていて見ていなかった。

肝が冷えたぞ、この馬鹿野郎め・・・



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