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FULL MOON
【OL/お姉さん 官能小説】

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FULL MOON act5-1

(本当に…ひどい!!)


岡田絵里は苛立つ気持ちを押さえきれず思い切り足音をたてながら歩いた。

ドカ!ドカ!

割と遅い時間だからか…辺りに人がいないことが救いだろう。

(…まさかあの二人が付き合うなんて)


はぁとため息をついた。


「あー!!」

思わず大声を出した絵里だが、近くにいたカラスが驚いて飛んでいったのには気付いていない。
言葉にもならない。

「………はぁ」

もう一度ため息。


(高坂さん、いい人だったのになぁ…かっこいいしさぁ)

本当に、私が好きになった人は彼女がいるなぁ、なんて思う。


前好きだった人はよく行くコンビニの店員さん。
最初は気にしてなかったけれど、財布を忘れて届けてくれたころから気になりだした。
次の日からコンビニにお互いがいたら話をするようになった。何回かあがりの時間だからって外で話したこともある。

アドレスも交換して…メールくるかな?って思ったら来ず…
自分から送ろう、なんて思った矢先に彼が女の子といるのを発見。

…でもきっと友達だって信じて、会ったときに聞いてみた。

「この間いた子彼女?」

そしたら彼は嬉しそうに「そうだよ」って…。
なんでも私がアドレスを教えた次の日に告白されたらしい。
彼も気持ちがあるはず、なんて勘違いだったのか…。それを認めるのは辛かった。

その後に気になった人はサークルの後輩。優しくて笑顔が可愛い。その優しさにドキドキしてたけど…女の子と手を繋いでいるのを見てその場で失恋。
私が先輩だったから優しくしてただけだったみたい。

久しぶりに気になる人が出来て、舞い上がってたらおでこにちゅっなんてところを見ちゃったもんだから。失恋一発KOだよ…。
今までの失恋歴が走馬灯のように思い出される。

じわり、と目の端に涙が滲むのが分かった。
こんな惨めな気持ちで泣きたくない。


ポケットに入ってるケータイのバイブがさっきから鳴りっぱなし。

(安西さんかな…)

取る気にならない。
ドカドカと歩いていた足音も段々と小さくなっていく。

(考えたくないなぁ)


駅に着いて、気持ちを整える。帰ってお風呂入ろ!スパッと切り替えようと思った…だけど。
色んな気持ちがごちゃごちゃしてうまく理解出来ない。
そしたらいきなり声をかけられた。



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