投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

熱帯夜
【その他 恋愛小説】

熱帯夜の最初へ 熱帯夜 5 熱帯夜 7 熱帯夜の最後へ

一日目-1

暑くて寝られないのは今に始まった事じゃないけど、今夜はいつも以上に暑い。
そりゃ確かに夏だけど、昼間も死ぬほど暑いけど、何も夜中まで暑くならなくてもいいだろうに。

少しでも涼を求めて窓の桟に足を乗せてみたけど、何の意味もない。
窓は全開、虫よけの網戸すら風通しの邪魔に思える。当然カーテンも開けたまま。高二男子の部屋に無用心も何もないし。

部屋にエアコンが欲しいと親に訴えたら、働いてから買えと返されてその話はそこで終了。恐らくエアコン用だと思われる高い位置のコンセントが、いつ来るか分からない出番をずっと待ち続けている。

扇風機はタイマーが切れてそっぽを向いたまま止まってるし、かと言って再稼動させる為に動くのもめんどくさい。
大体うちと隣の家は距離が近すぎるんだよ。網戸無視で蚊ばっか入ってきて風なんか通りゃしない――…

「…?」

何だろ、視線を感じる。

眠れないせいで目は暗闇に完全に慣れてしまっていた。音をたてないようにゆっくり身体を起こして視線を感じる方に目をやると、そこに見える光景にほんの少しの違和感を感じた。

数秒考えて、その違和感の正体に気づいた。

隣の家の窓――…

いつも締め切られてるカーテンが珍しく全開になってる。そしてその部屋の中から俺を…、と言うより正確には俺の足を凝視する横顔が見えた。

この人…

視線の主は隣の家に住むお姉さん。
お隣さんと言っても歳は離れてるし生活サイクルも全然違うから、面識はゼロに近い。
きちんと顔を見たのは10年前にわが家がここへ引っ越して来た時に挨拶をしに行った時くらいだと思う。
当時小学生だった俺からすればブレザーの制服を着てるお姉さんはとびきり大人。
年の離れたお隣さんに憧れるなんてよくあるシチュエーションも思いつかないくらい幼稚だった俺は、子供ながらに『この人と仲良くなることはない』と直感したんだ。

そのお姉さんが10年の時を経て今俺の手の届く所にいる。
…ていうか、この人俺の足見て何がしたいんだ?
まさかとは思うけど

「のぞき…?」

つい、声に出してしまった。
その声にお姉さんはよほど驚いたのか、大きく肩をびくつかせて慌ててカーテンを閉めようとして

ブチンッ

「ぎゃっ」

勢い余ってカーテンのフックを外してしまっている。
完全にパニック状態だな。

起き上がって、あわあわするお姉さんをじっと見た。

別に変態とかではなさそう。薄暗くてもそこそこ可愛らしい容姿なのは分かるし、ベッドに座って不安そうな目で俺を見る姿は何だかとってもそそられる。


熱帯夜の最初へ 熱帯夜 5 熱帯夜 7 熱帯夜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前