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華詞―ハナコトバ―
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華詞―ハナコトバ―3の花-5

「うそ…。これって…。」
「うん。1本サンプルだけどもらってきたんだ。それに、ちょっと刻印を入れて細工しちゃったんだけど…。」
箱から出てきたのは私が考えたボールペンだった。
少し光沢のある優しいペールブルーのボールペン。
キャップクリップの先端にコットンパールがついていて、とても可愛い。
良く見るとキャップクリップにS.Uと刻印されている。
「サオリって綺麗な名前だよね。サオリちゃんが考える商品も綺麗だし。」
嬉しさで言葉が出てこない。
「俺はすごく良いと思う。」
「…ありがとう、ございます。」
「これからも、サオリちゃんはきっと綺麗なアイテムを沢山つくるよ。
いつか、越されちゃうかも…。」
「それは、ないですよ。」
「そうかなー。俺もうかうか先輩風吹かせてらんないよ。
というか、敬語はやめない?」
「え、でも…。」
「だって距離感感じるし。俺、少しでも距離感なくしたくて、サオリちゃんって言ってたんだよ?
本当はものすごーーーーく恥ずかしいからね。サオリちゃんって呼ぶの。」
そうだったんだ…。
みんなに分け隔てなく優しくて憧れの人。
そんな人でも、私なんかに恥ずかしいなんて思う事があるんだ。
嬉しいなんて思うのはおかしいのかもしれないけど、私は胸がいっぱいになった。
「じゃあ、シンイチって呼んだら良いですか。」
酔っぱらっている今日の私はちょっと強気だ。
「えっ…?うん…。」
松下さんが口ごもる。これじゃあ立場が逆転しているみたいだ。
「…じゃあ、俺も2人の時はサオリって呼ぶから。」
「…はい。」
私はゆっくりと微笑んだ。



今日の優香さんは、いつも以上に綺麗でまぶしいくらいだね。
そんな素敵な花嫁さんからもらえたブーケを抱えながら
隣のあなたを見る。
いつも通りの人懐こい笑顔。
見つめると少し恥ずかしそうに左手で頭をかいて微笑んでいる。
そんなあなたを見ていると、少し期待をしてしまうの。
名前のように、あなたの綺麗な花嫁になれるのかなって。


おわり。


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