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どこにでもないちいさなおはなし
【ファンタジー 恋愛小説】

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どこにでもないちいさなおはなし-6

「とにかく、コインがあるってことは、僕が思うに、どこかへ行っても食事をしたり宿を取ったりできるってことじゃないかな」

上等な上着を着たカエルはそう少女に言い、ポケットに品々をしまい始めます。
少女も同意を表すように、大きく頷き、また上等な上着を着たカエルと同じようにポケットに出てきた品々をしまい始めました。

そうして、二人はようやくその場から立ちあがりました。
もう辺りはすっかり暗くなり、月はますますその光りを深めているのでした。

上等な上着を着たカエルと少女がどっちへ行こうか相談していると、そこへ遠くからカラカラと馬車の走る音が聞こえました。

「やあ、助かった。馬車の音だと、僕には、聞こえる」
上等な上着を着たカエルは、飛び上がって喜びます。
実際、口にはしないだけで、随分と疲れているのでした。

少女もそれは同じだったようで、大きく頷いて、同意しました。

二人は少し先に見えた砂利道まで歩き、手を振って馬車を待ちました。





 白と黒の市松模様のその部屋で二人のよく似たピエロが立っていた。片方のピエロが腹部を押さえてがくりと膝を着き、もう片方のピエロが口元を歪めて嬉しそうに笑う。

「こんな事して、良いと思ってるんだね?」

息を切らし肩を大きく上下させながら膝を着いたピエロが呟く。

「もちろんだよ。僕だけがいれば良いんだから」

笑いながらもう片方のピエロが血糊がべったりと付いたナイフを放った。

「今に後悔する事になるよ……」

悔しそうに言いながら腹部を押さえたピエロの体から力が抜ける。どさり、と床に倒れた後、そこには何も無かったかのようにその体が消えた。





カラコロと、砂利道を馬車はゆっくり走ります。
御者は白髪の老人でした。
白髪の老人はすこし綻びた茶色の上着を着ていました。
その顔は皺が多く目はもう見ていないかのようでした。

上等な上着を着たカエルと少女は老人に抱え上げられてその馬車に乗りこみました。
幌がかかったその馬車の中にはたくさんの木箱や果物が載せられています。
上等な上着を着たカエルと少女は「POTATO」と大きく白い文字で書かれた木箱を背もたれにして座りました。
上等な上着を着たカエルは、少女が座るときにはさりげなく手を貸したのでした。

老人は何も言わずに近くの街へと馬車を走らせます。
馬は茶色い馬でした。
とても優しそうな目をしています。

少女と上等な上着を着たカエルは馬車から見える景色をずっと眺めていました。

ぐぅと、どちらのともつかない音でお腹が鳴りました。
少女と上等な上着を着たカエルは顔を見合わせて笑いました。


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